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弾奏
「弾奏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弾奏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「聖書」より 著者:生田春月
セッティを見ていた。この頗る冥想的な場面に女中さんの紅くふくれた頬が例の階段上の
弾奏を先き触れにして現れた、と思うと、いきなりぷっと噴き出した。 「おや、どうし....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
証明された上でだ。あれは確かに、不在証明中の不在証明じゃないか」
「では、伸子の
弾奏術としてでかい」と検事は驚いて問い返した。「僕はとうてい、あの倍音が鐘だけで....
「田丸先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
行って先生のピアノの伴奏で自己流の演奏、しかもファースト・ポジションばかりの名曲
弾奏を試みたのであったが、これには上記のような古い因縁があったのである。 高等....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あらかじめ二人の間に約束があったと見えて、琵琶はただちに曲に入りました。その
弾奏は自慢だけに、堂に入《い》ったところがあります。大絃《だいげん》は※々《そう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ったくできないばかりでなく、それを感ずることさえできなかったのである。ごく正確に
弾奏してもいなかったし、拍子正しく演奏してもいなかったが、しかし脱線することはな....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
のために、足がよろよろしていた。二人とも、クリストフがまたピアノについて幾時間も
弾奏することを、希望していた。しかしきわめて快活軽敏なこのひどい青年は、ピアノで....
「耳無芳一の話」より 著者:小泉八雲
吟誦して、琵琶を奏するに妙を得ているので世に聞えていた。子供の時から吟誦し、かつ
弾奏する訓練を受けていたのであるが、まだ少年の頃から、師匠達を凌駕していた。本職....
「映画雑感(Ⅵ)」より 著者:寺田寅彦
いるうちにいつか頭が変になって来て、急に嵐のような幻想曲を弾き出す、その狂熱的な
弾奏者の顔のクローズアップに重映されて祖国の同志達の血潮に彩られた戦場の光景が夢....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
人の乞食が門内へはいって行って犬に吠えつかれた。やがて一時間ほどすると、ピアノの
弾奏が聞こえて、その音色が微かにおぼろげに伝わって来るのだった。きっとアンナ・セ....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
水が一息入れると、聴き手は漸く吾に返えり、惑乱気味に嘆息するのだった。 人間を
弾奏する――孔雀が最後の別れの際に、九十郎を抱擁したのは、その目的がまさにそうで....
「朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
、これが箏かと思われるほど、他の流とは異なる大きやかな、深みのある、そして幅広い
弾奏だった。十三弦は暴風雨《あらし》を招《よ》んで、相模《さがみ》の海に荒ぶる、....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
った。桜井女学校の講師をしていた時分、卒業式に招かれて臨席したが、中途にピアノの
弾奏が初まったので不快になって即時に退席したと日記に書いてある。晩年にはそれほど....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
好まない傲岸不屈の利かん坊であった。 作さんの家内太夫入門・東京で初めてのピヤノ
弾奏者・椿岳名誉の琵琶・山門生活とお堂守・浅草の畸人の一群・椿岳の着物・椿岳の住....
「十日の菊」より 著者:永井荷風
た。新しき女の持っている情緒は、夜店の賑《にぎわ》う郊外の新開町に立って苦学生の
弾奏して銭を乞うヴァイオリンの唱歌を聞くに等しきものであった。 小春治兵衛《こ....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
に紹介されて、判検事一同とともに教授と食卓を囲んだ一時間の後、さて老教授のピアノ
弾奏に耳を傾けていた時のことだったのです。ホテルのホールといっても、そう広いもの....