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当てる
「当てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
当てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
中にいる人々の間を、あぶなそうに押しわけながら、どうにか風呂の隅《すみ》をさぐり
当てると、やっとそこへ皺《しわ》だらけな体を浸した。
湯加減は少し熱いくらいで....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
に彼自身の威厳を全《まっと》うした。五百部の印税も月給日までの小遣《こづか》いに
当てるのには十分である。
「ヤスケニシヨウカ」
保吉はこう呟《つぶや》いたまま....
「影」より 著者:芥川竜之介
うに舌打ちをした。が、それにも関らず、靴《くつ》の踵《かかと》を机の縁《ふち》へ
当てると、ほとんど輪転椅子の上に仰向けになって、紙切小刀《かみきりこがたな》も使....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
を見せつけられた、その寂しさに堪えなかったのであろうか。そうしてあの人の胸に顔を
当てる、熱に浮かされたような一瞬間にすべてを欺こうとしたのであろうか。さもなけれ....
「白」より 著者:芥川竜之介
出来ませんから、闇《やみ》の中を見通すことだの、かすかな匂《におい》を嗅《か》ぎ
当てることだの、犬の教えてくれる芸は一つも覚えることが出来ません。)
「どこの犬....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、そうやって人を見る明が有るもんだから、婿の選択は残らず母様に任せてあるんだ。取
当てるよ。君、内の姉の婿にした医学士なんざ大当りだ。病院の立派になった事を見たま....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、ぽたりぽたり雫がし出した。頸と言わず、肩と言わず、降りかかって来ましたが、手を
当てる、とべとりとして粘る。嗅いでみると、いや、貴僧、悪甘い匂と言ったら。 夜....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。――そうして半※を畳みながら、行儀よく膝に両の手を重ねて待ったお嬢さんに、顔へ
当てるように、膝を伸しざまに差出した。 「ほんとうに、あなた、蟆子のたかりました....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
ようか、巻いたんでよけりゃ。」 「いいえ、持っておりますよ。」 と帯の処へ手を
当てる。 「そこでと、湯も沸いてるから、茶を飲みたければ飲むと……羊羹がある。一....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ら、また迷児にでもなってると悪い、可愛い坊ちゃんなんだから。」とぴたりと帯に手を
当てると、帯しめの金金具が、指の中でパチリと鳴る。 先刻から、ぞくぞくして、ち....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
い布を引いて漲る水は、随処、亀甲形に畝り畝り波を立てて、ざぶりざぶりと山の裾へ打
当てる音がした。拓を背にし、お雪を頸に縋らせて、滝太郎は面も触らず件の洞穴を差し....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
苦しい煙になって、濛々と車内へ漲り出した。元来|咽喉を害していた私は、手巾を顔に
当てる暇さえなく、この煙を満面に浴びせられたおかげで、殆息もつけない程|咳きこま....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
。 美女はその顔を差覗く風情して、瞳を斜めに衝と流しながら、華奢な掌を軽く頬に
当てると、紅がひらりと搦む、腕の雪を払う音、さらさらと衣摺れして、 「真個は、寝....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
だした。父親は足を棒のようにして息子の行方をさんざ探ねて廻った※句、ようやく探し
当てることが出来たのであるが、ジャンは、芸を仕込まれた牝山羊や軽業をする犬にとり....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
いた……結綿を重そうに、娘も膝に袂を折って、その上へ一顆のせました。いきなり歯を
当てると、むし歯になると不可いと、私のために簪の柄を刺して、それから、皮を取って....