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当惑
「当惑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
当惑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
口髭《くちひげ》の手入れをした、都会人らしい紳士である。少年の顔に往来する失望や
当惑に満ちた表情。紳士は少年を残したまま、さっさと向うへ行ってしまう。少年は遠い....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
どうしてまた、そんなよけいな事をしたのさ。」
次郎は、まだ落ち着かない様子で、
当惑したらしく、沙金《しゃきん》の目をうかがった。
「よけいじゃないわ。」
沙....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
つである。(たとえば文明国の新聞攻撃のように。)第三の夫の仏画師は、ただいかにも
当惑したように涙を流しているばかりだった。僕はその時三人の夫に手代の鼻を削ぎ落し....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
論家にいなかった。丁度ミシンをかけていたお鈴は多少予期はしていたものの、ちょっと
当惑に近いものを感じた。しかし兎に角この客を迎えに長火鉢の前を立って行った。客は....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
かけたこともない訣《わけ》ではない。が、こう云う場合には粟野さんに対する礼儀上、
当惑《とうわく》の風を装《よそ》うことに全力を尽したのも事実である。粟野さんはい....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
、彼自身その男を私に紹介してくれた時には、まるで謎《なぞ》でもかけられたような、
当惑に近い感情を味わずにはいられませんでした。何でも三浦の話によると、これは彼の....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
とは云え無意識に求めていたある表情が閃《ひらめ》いていた。洋一は兄の表情に愉快な
当惑を感じながら、口早に切れ切れな言葉を続けた。
「今日は一番苦しそうだけれど、....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
はればれ》とした微笑を浮べて、本間さんの答を促した。
「…………」
本間さんは
当惑した。自分はどちらを信ずればよいのであろう。万人に正確だと認められている無数....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
後《うし》ろの机に試験の答案を調べかけたなり、額の禿《は》げ上《あが》った顔中に
当惑そうな薄笑いを漲《みなぎ》らせていた。
「こりゃ怪《け》しからん。僕の発見は....
「早春」より 著者:芥川竜之介
こを選んだのである。公園、カフェ、ステエション――それ等はいずれも気の弱い彼等に
当惑《とうわく》を与えるばかりだった。殊に肩上《かたあ》げをおろしたばかりの三重....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
残していた。この記憶を抱《いだ》いている彼は、彼等の好意と反感との前に、いずれも
当惑に似た感じを味わないではいられなかった。殊に彼を尊敬する一団の若者たちに接す....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
ええ、偉い画描《えか》きです。」
「N閣下などとはどうだろう?」
青年の顔には
当惑の色が浮んだ。
「どうと云っても困りますが、――まあN将軍などよりも、僕等に....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
という訳ではないのですが、実は、――」
主人はほとんど処子《しょし》のように、
当惑そうな顔を赤めました。が、やっと寂しい微笑を洩すと、おずおず壁上の名画を見な....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
袂《たもと》を引き、「あら、あなた、鼠が」と言った。が、夫はふり返ると、ちょっと
当惑らしい表情を浮べ、「どこに?……気のせいだよ」と答えたばかりだった。たね子は....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
らかにびっくりした。しかもその驚いた顔は、声の主《ぬし》を見たと思うと、たちまち
当惑《とうわく》の色に変り出した。「やあ、こりゃ檀那《だんな》でしたか。」――客....