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「形見〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

形見の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
らしい物を持っているな。おまけに女持ちらしいじゃないか。」 「これか。こりゃ母の形見だ。」 俊助はちょいと顔をしかめながら、無造作《むぞうさ》に時計をポッケッ....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
然と金色《こんじき》に輝いていました。これは確か康頼《やすより》様の、都返りの御形見《おかたみ》だとか、伺ったように思っています。 俊寛《しゅんかん》様は円座....
クララの出家」より 著者:有島武郎
で編んで後ろに垂れ、ベネチヤの純白な絹を着た。家の者のいない隙に、手早く置手紙と形見の品物を取りまとめて机の引出しにしまった。クララの眼にはあとからあとから涙が....
自叙伝」より 著者:大杉栄
う老人が、このお祖父さんの弟で、少しは名のある国学者だったように聞いている。その形見の硯や水入れが家にあった。そして僕が十五の時、幼年学校にはいるんで名古屋へ行....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
を客の前におく。皆の者がその美しさをたたえて後、利休はその器を一つずつ一座の者へ形見として贈る。茶わんのみは自分でとっておく。「不幸の人のくちびるによって不浄に....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
はずかしいわ。だって、正直にいうと、房枝さんも死んでしまったろうから、房枝さんの形見をもらうつもりで、持ってきたんだわ。ごめんなさいね」 「形見だって、ほほほほ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
が破れていた。)きちんと胸高なお太鼓に、一銭が紫粉で染返しの半襟も、りゅうと紗綾形見せたであろう、通力自在、姐娘の腕は立派である。 ――それにつけても、お京さ....
」より 著者:池谷信三郎
くまで、シイカの幻を愛し続けましょう。 問。何か願い事はないか? 答。彼女に私の形見として、私の部屋にある鳩の籠を渡してやってください。それから、彼女に早くお嫁....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ございましたが、しかし私に取りましては、懐剣そのものよりも、それがなつかしい母の形見であることが、他の何物にもかえられぬほど大切なのでございました。私は一|生涯....
寡婦」より 著者:秋田滋
れると、何がどうということもなしに、相手の胸は乱れるのでした。 ここにこういう形見を残していった人の祖父さんにあたる人は、恋愛、決闘、誘拐などと数々の浮名をな....
百喩経」より 著者:岡本かの子
方行きの代償は、たったあの銀の簪一本になったのだ。彼をそうさした女のたった一つの形見だったのだ。持って居て一生恨み辛みを云わねばならぬ。彼の胸は煮えつくして却っ....
花筐と岩倉村」より 著者:上村松園
て継体天皇となり給うについて、俄かに御上洛を遊ばされる時、御寵愛の照日前に玉章と形見の花籠を賜わったが――照日前に、花筐を持って君の御跡を追うて玉穂の都に上った....
妖怪学」より 著者:井上円了
の大妖怪はなにものなるや。狐か狸か、はた天狗か、はた大入道か。狐狸、大入道はその形見るべく、その声聞くべく、握るべく、さぐるべし。これ、いまだ妖怪と称するに足ら....
迷信解」より 著者:井上円了
るに、その名異なりといえども、その実は一なり。人を悩ますといえども、いずれもその形見えざれば、人狐といえば人狐なり、河太郎といえば河太郎なり、猿神といえば猿神な....
消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
者の反対を怖れて、どういう風に承諾させたものかと絶えず考えている中に、軈て亡妻の形見分の時がまいり、私は妻の箪笥やら、手廻りの道具に一通り目を通さねばなりません....