影像[語句情報] »
影像
「影像〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
影像の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
カメラの眼で追っているうちに、陽子の姿は嫉妬というレンズの額縁の中で捉えた亡妻の
影像に変ってしまっていたのだ。 だから、陽子が眼の前に現れたのは、木崎にとって....
「富士」より 著者:岡本かの子
、臀部、あたま――翁の眼中、一々、その凸所の形に似通う山の姿が触覚より視覚へ通じ
影像となって浮んで来た。 山処《やまと》の ひと本すゝぎ 朝雨《あささめ》の ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
この世のどこにあり得ようと思われるだろうが、しかし、騎西|滝人《たきと》の心理に
影像をつくってみれば、その二つがピタリと頂鏡像のように符合してしまうのである。ま....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
最後の審判に関するゾロアスター教の教えは、単に宇宙系における周期的変転を表現する
影像にすぎないというのである。この後者の考えはことによるとインド哲学の影響によっ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
素に還されてしまうのじゃないでしょうか。いったい、犯人は誰ですかな。家内は、その
影像を見なかったと云ってますよ」
「さよう、まったく神秘的な事件です」と法水は伸....
「古狢」より 著者:泉鏡花
の三辻の処で見返った。春|闌に、番町の桜は、静である。 家へ帰って、摩耶夫人の
影像――これだと速に説教が出来る、先刻の、花御堂の、あかちゃんの御母ぎみ――頂餅....
「転機」より 著者:伊藤野枝
られる。 泥にまみれて傾き横たわった沼の中の墓石は、後から後からと、私に種々な
影像を描かせる。その
影像の一つ一つに、私の心はセンティメンタルな沈黙を深めてゆく....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
う。――次いで、四日と経たないうちに、小川写真館の貸本屋と向合った店頭に、三人の
影像が掲焉として、金縁の額になって顕われたのであるから。 ――青雲社、三大画伯....
「故郷」より 著者:井上紅梅
ど三十何年目に一度廻って来る家の大祭の年に当り、祭は鄭重を極め、正月中掲げられた
影像の前には多くの供え物をなし、祭器の撰択が八釜しく行われ、参詣人が雑沓するので....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
人に命じて庭先に火を焚かせ、それに不用な雑書類などを投げ入れるのである。それは、
影像の楯をつくって、ひたすら病苦から逃がれんがためであった。 そのようにして私....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
眼前の儀右衛門が、精神の昂揚状態に入っているのではないかと疑った。 いろいろな
影像が入れ代り立ち代り、驚くべきほどの早さで、相手の表情の中を、かすめ行くのを見....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
句として、後世に残るものである。この一句には坂田でなければ言えないという個性的な
影像があり、そして坂田という人の一生を宿命的に象徴しているともいえよう。苦労を掛....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
男が立つわけじゃ』 信徒四『お堂が斯う立派に出来てみると、早く中身の親鸞さまの御
影像もお迎え申し、据わるところに据わって頂かんことにゃ、何となく落付きが悪い。仏....
「春」より 著者:岡本かの子
かかり矢鱈にそこらを手探りした。盲目のように窓を撫で廻した。気はあせり、瞳は男の
影像を見逃すまいと空を見つめて居るので、中々錠のありかが判らない。漸く二枚の硝子....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
え切っていた。 信吉はもう稽古そのものには興味をなくしていた。いやむしろ自作の
影像が歪められているのを見るに堪え難い気持すら味っていた。が、江口冴子がその残さ....