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彷徨
「彷徨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
彷徨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
いる。が、どちらも確かではない。とにかく彼はえたいの知れない幻《まぼろし》の中を
彷徨《ほうこう》した後《のち》やっと正気《しょうき》を恢復した時には××胡同《こ....
「二つの道」より 著者:有島武郎
の終わるところまで行き尽くした人がはたしてあるだろうか。
五
人は相対界に
彷徨《ほうこう》する動物である。絶対の境界は失われた楽園である。
人が一事を思....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
えさんこれからどうするつもりなの?」 「どうといって、やっぱり食う算段さ。高岡に
彷徨《ぶらつ》いていたって始まらんので、金沢には士官がいるから、馬丁《べっとう》....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の状態が外にあろうか。この近道らしい迷路を避けなければならないと知ったのは、長い
彷徨を続けた後のことだった。それを知った後でも、私はややもすればこの忌わしい袋小....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
をひそめたが、あとで聞くと、その晩、斎木(医師の姓)の御新造が家を抜出し、町内を
彷徨って、疲れ果てた身体を、社の鳥居の柱に、黒髪を颯と乱した衣は鱗の、膚の雪の、....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
なかった。時と荒廃とに任せていた彼の住居は崩れかけて来たので、飢えたる山羊どもは
彷徨い出て、近所の牧場へ行ってしまった。そうして、音楽師が来たあの楽しい日以来、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
人に狩り取られて、親がないか、夫がないか、孤、孀婦、あわれなのが、そことも分かず
彷徨って来たのであろう。人|可懐げにも見えて近々と寄って来る。お雪は細い音に立て....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
難い個処がある。総じて複雑した脚色は当の作者自身といえども往々混錯して往々迷路に
彷徨するは、あたかも自分の作ったラビリンスに入って出口を忘れるようなものだ。一度....
「瘤」より 著者:犬田卯
にたよる気持――それはどう解釈したらいいのであろうか。田辺定雄はしばし混迷の中を
彷徨しなければならなかったのである。 そこで彼は「瘤のような腕力のすぐれた、県....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
うなことはないのである。彼は家というものももはや失い、主として山野に寝ね、山野に
彷徨して、虫けらを食って生存しているのだが、時々、里へ出現ましまして座像化したり....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
日|維時、その月二十八日夜、寝に就く。忽地にして妻、手に提灯を携え、某川のそばに
彷徨し、予に告げて曰く、「父、水没す」と。ともに驚然として覚む。とき夜半、なお再....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
燈再び赫灼として輝くを見ても古い戯作の頭ではどう做ようもなく、空しく伝統の圏内に
彷徨して指を啣えて眼を白黒する外はなかった。中には戯文や駄洒落の才を頼んで京伝三....
「活人形」より 著者:泉鏡花
を出で、指して行方もあらざればその日その日の風次第、寄る辺定めぬ捨小舟、津や浦に
彷徨うて、身に知る業の無かりしかば、三年越しの流浪にて、乞食の境遇にも、忘れ難き....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
至らんと。ただその今日のありさま、真理に達するの途次にありて迷中に出没し、暗裏に
彷徨して進路をとるゆえんを知らざるのみ。あたかも雲外に明月あるを知らず、林外に秀....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
、その務めであるにもかかわらず、吉田内閣積年の宿弊は、独立後の日本の政治を混迷と
彷徨の中に追い込んでおるのであります。終戦六年にして独立をかち得た国民は占領下に....