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彼の方
「彼の方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
彼の方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
「ずるをしたのも兄さんだい。」
「何。」
兄はまた擬勢《ぎせい》を見せて、一足
彼の方へ進もうとした。
「それだから喧嘩になるんじゃないか? 一体お前が年嵩《と....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ころがそこへ足を入れると、うす暗い店の奥に立って、古本を探していた男が一人、静に
彼の方へ向き直って、
「安田《やすだ》さん。しばらく。」と、優しい声をかけた。
....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
い競争者が現れた事を知ったと見えて、さすがに妬《ねた》ましそうな流し眼をじろじろ
彼の方へ注いでいた。その内に彼は担《かつ》いだ岩を肩の上で一揺《ひとゆす》り揺っ....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
で、幾度も思わず上体を前に泳がせた。子供は、よけてもらったのを感じもしない風で、
彼の方には見向きもせず、追って来る子供にばかり気を取られながら、彼の足許から遠ざ....
「星座」より 著者:有島武郎
》な光景が、必要以上にみだらな色彩をもって思いやられた。彼よりも先に床にあって、
彼の方に手をさし延べて彼を誘った女、童貞であるとの彼の正直な告白を聞くと、異常な....
「生きている腸」より 著者:海野十三
はすぐ活撥な蠕動をはじめる。そして間もなく、腸《ちょう》の一部がテーブルの上から
彼の方にのびあがって、 「もっと砂糖水をくれ」 というような素振りを示すのであ....
「親子」より 著者:有島武郎
おいてみろ」 さきほどの荒い言葉の埋合せでもするらしく、父はやや面をやわらげて
彼の方を顧みた。けれども彼は父と同様珠算というものを全く知らなかった。彼がやや赤....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
われない批判的検索を行うという、実に不思議な取り合わせを示している。惜しいことに
彼の方法は古代バビロニア人の方法に類していて、結局古い不精密な観測を新しい未曾有....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
やはりこの細道の電柱のかげから、松井田が現われた。今度は意外にも立ち消えはせず、
彼の方へ向って、ノソノソ歩いて来るので、彼は懸命の勇気をふるって、 「松井田君!....
「海底都市」より 著者:海野十三
った。 (このカビ博士――いやこの辻ヶ谷の野郎め!) と、思わず拳《こぶし》が
彼の方へうなりを生じて動きだした。――僕を危険きわまりない謎の陰謀者のところへ使....
「恐竜島」より 著者:海野十三
えにすっくと立ち上った。 そのときである。一人の老いたる白人が、銃を手に持って
彼の方へ突進してきた。焚火《たきび》が老人を赤々と照らした。老人は、焚火の前まで....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
アンの身体を、ふり放そうとしたが、それはうまくいかなかった。アンの力というよりも
彼の方に、新しい疑惑が湧いてきたが故だった。 (フン大尉と本名を呼んでやったのに....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
紅蓮の焔はまるで生物のように八十助の存在を認めて、そのメラメラといきり立つ火頭を
彼の方に向け直すと、猛然と激しい熱風を正面から吹きつけた。 「うわーッ」 八十....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
、その上に真赤な半幅の帯をしめ、こげ茶色の長い袴をはいた。そして白たびを脱ぐと、
彼の方にお尻をむけて、白い脛に薄地の黒いストッキングをはいた。 杜はカンカン帽....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
王終世の事業はシュレージエン問題の解決に在ったと見るも過言ではない。終始一貫せる
彼の方針、あらゆる困難を排除して目的を確保した不撓不屈の精神、これが今日のドイツ....