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「彼岸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

彼岸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
々と御笑いになって、 「いや、その答えが何よりじゃ。爺は後生が恐ろしいと申すが、彼岸《ひがん》に往生しょうと思う心は、それを暗夜《あんや》の燈火《ともしび》とも....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
それは不幸にもすっかり当《あて》が外《はず》れてしまいました。と言うのはその秋の彼岸《ひがん》の中日《ちゅうにち》、萩野半之丞は「青ペン」のお松に一通の遺書《い....
妖術」より 著者:泉鏡花
でも交りそうな気勢がする。……両|三日。 今朝は麗かに晴れて、この分なら上野の彼岸桜も、うっかり咲きそうなという、午頃から、急に吹出して、随分風立ったのが未だ....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ない、男らしくもねい」 兄のことばの終わらぬうちに省作は素足で庭へ飛び降りた。彼岸がくれば籾種を種井の池に浸す。種浸す前に必ず種井の水を汲みほして掃除をせねば....
天守物語」より 著者:泉鏡花
では、金花糖の鯛でさえ、横噛りにはならぬ事よ。 朱の盤 後生らしい事を言うまい、彼岸は過ぎたぞ。――いや、奥方様、この姥が件の舌にて舐めますると、鳥獣も人間も、....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
春の山――と、優に大きく、申出でるほどの事ではない。われら式のぶらぶらあるき、彼岸もはやくすぎた、四月上旬の田畝路は、些とのぼせるほど暖い。 修善寺の温泉宿....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
。 前夜まで――唯今のような、じとじと降の雨だったのが、花の開くように霽った、彼岸前の日曜の朝、宗吉は朝飯前……というが、やがて、十時。……ここは、ひもじい経....
海の使者」より 著者:泉鏡花
い処。 其処で、立ち佇って、ちょっと気を注けたが、もう留んで寂りする。――秋の彼岸過ぎ三時|下りの、西日が薄曇った時であった。この秋の空ながら、まだ降りそうで....
縁結び」より 著者:泉鏡花
。 謙造はひしと背後に附添い、 「松葉越に見えましょう。あの山は、それ茸狩だ、彼岸だ、二十六|夜待だ、月見だ、と云って土地の人が遊山に行く。あなたも朝夕見てい....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
産れる、乳が出る、大した効能。いやもう、神のごとしとござりまして、所々方々から、彼岸詣のように、ぞろぞろと入湯に参りまする。 ところで、二階家を四五軒建てまし....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
てあった。 私はこう下を向いて来かかったが、目の前をちょろちょろと小蛇が一条、彼岸|過だったに、ぽかぽか暖かったせいか、植木屋の生垣の下から道を横に切って畠の....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
、事実はその通りであり、而かもそは毫も怪むに足らぬ。魂は地上生活そのままの姿で、彼岸に歩み入るのである。その趣味、好尚、習慣、反感等、生前死後を通じて、毫も変る....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
水も湧かなかったのである。夏の盛りと冬季間には、毎年こうした状態になるのが常で、彼岸がやってきて水が出来るまで、他の、「本井戸」――地下水まで掘り下げた七十尺ほ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
に。」 著者に、いうのである。 「三月、と口にしますと同時に、ふと気がつくと、彼岸ずっと前で、まだ桜は咲きません。が、それからお絹を連れて行きました、本郷座の....
西航日録」より 著者:井上円了
の怪しむところならん。二十八日未明、ホンコンに着す。また快晴なり。暑気、わが九月彼岸ごろに似たり。 ホンコンは東洋第一の開港場にして、家屋の広壮、市街の繁盛、....