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「往事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

往事の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
壻になったからである。文一郎さんは赤坂台町に現存している人ではあるが、恐くは自ら往事を談ずることを喜ばぬであろう。その少時の事蹟には二つの活きた典拠がある。一つ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
は、皇子は知太政官事の職にあられた。御多忙の御身でありながら、或雪の降った日に、往事のことをも追懐せられつつ吉隠の方にむかってこの吟咏をせられたものであろう。こ....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
でない。事実がかくあると単純に剛柔《ごうじゅう》の区別につき一言したいのである。往事の書生が、なるべく外貌《がいぼう》を粗暴にし、衣はなるべく短くし、髪《かみ》....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
年、老熟し切った文芸の畑の土壌に培われた作品である。おおよその人が老年になって、往事を無邪気に顧みて、ただそれなりに皺ばんだ口辺に微笑を湛え得るならば、それでも....
瘠我慢の説」より 著者:福沢諭吉
の志《こころざし》達《たっ》し得て目出度《めでた》しといえども、顧《かえり》みて往事《おうじ》を回想《かいそう》するときは情に堪《た》えざるものなきを得ず。 ....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
になって病床にあること多年だったが、昨秋からようやく再起、今度再婚もしたと聞く。往事を思えば、同君の回復もまた、速からんことをせつに祈りたい。 第三話....
妖怪報告」より 著者:井上円了
して、氷釈するあたわざるゆえんなり。それ、およそ夢は、つねに五官の交感、あるいは往事追懐の起念等、種々の原因より結合して成るものなりといえども、かくのごとく詳細....
三国志」より 著者:吉川英治
何か書いていた。 ――もちろん関羽への書簡。 時おり、筆をやめて、瞑目した。往事今来、さまざまな感慨が胸を往来するのであろう。 燈火は、陣幕をもる風に、パ....
三国志」より 著者:吉川英治
です。あの樹林のうちが、すなわち蔡※の山荘でございます」 近侍の答えに、曹操は往事を思い出して、山荘を訪れようといった。 むかし、蔡※に嫁いだが、韃靼に生虜....