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「往年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

往年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一夕話」より 著者:芥川竜之介
左の臂《ひじ》を挫《くじ》きながら、五人までも敵を投げた事があった。――そういう往年の豪傑《ごうけつ》ぶりは、黒い背広《せびろ》に縞のズボンという、当世流行のな....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
い分にも、正当な理由がある。『太閤記』などには、信忠―秀吉、勝家―信孝の間には、往年男色的関係があったなどとあるが、それが嘘にしても、常からそういう組合せで仲が....
小田原陣」より 著者:菊池寛
気を如何に作興するかにある。 此の時小早川隆景進言して言うのに、父の毛利元就が往年尼子義久と対陣した際、小歌、踊り、能、噺をやって長陣を張り、敵を退屈させて勝....
言いたい事と言わねばならない事と」より 著者:桐生悠々
いて言わねばならないことを言って、軍部のために、私の生活権を奪われた。私はまた、往年新愛知新聞に拠って、いうところの檜山事件に関して、言わねばならないことを言っ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
松の裏を高く仰いで見た。鵲の尾の、しだり尾の靡きはせずや。…… 二往年、雨上りの朝、ちょうどこの辺を通掛った時、松の雫に濡色見せた、紺青の尾を豊に....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
として心に沁みる名文である。こうしたやさしき情緒の持主なればこそ、われわれは彼の往年の猛烈な、火を吐くような、折伏のための戦いを荒々しと見ることはできないのであ....
飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
句作に遠ざかった祟りには忽ち苦吟に陥ってしまう。どうも蛇笏君などから鞭撻を感じた往年の感激は返らないらしい。所詮下手は下手なりに句作そのものを楽しむより外に安住....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
泡盛の前話はそれで終る。しかるに鶴見の記憶は聯想の作用を起して、この時はからずも往年の親友の一人が鮮やかな姿を取って意識の表に押し出される。ここに泡盛の後話が誕....
岩波文庫論」より 著者:岩波茂雄
ものはつとめて編入し、この点において岩波文庫本来の特色を発揮しようと思っている。往年外遊の際、レクラム会社を見学してその事業的規模の大なるには驚いたが、編集態度....
料理メモ」より 著者:北大路魯山人
だ。これをやかましく喜ぶのは低級な食道楽だ。 *うなぎもあたたかいうちに食べる。往年、上野駅前の山城屋主人なる通人の食べ方を見るに、四枚重ねて片方から食べていっ....
西航日録」より 著者:井上円了
れど昔しは四方の海を照せり 山自蒼蒼水自清、灯台聳処是葡京、星移物換人何去、失却往年航海名。 (山はおのずから青あおとしげり、水もまたおのずから清らかに、灯台の....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ころの風浪は高くして航海し難く、よろずの船は晴れを待ってこの海峡の港にとどまる。往年の摩氏の心中を思いみるに、帆一つに死を賭してこの航路を開いたのである。) ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
に関東への結びつきが強くなりすぎておったためだったかも知れぬ。そのようなわけで、往年の歌人は多くすでに世を去ったし、残る者はすべて世を憚る人々であった。前代の寵....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
られたもので、『平城坊目考』にある人の説を引いて(「陰陽町唱門ヶ辻子の条」)、「往年唱門師当地に住して、興福寺に属す。民家を巡視して非違を告知らしむ。漫りに権威....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
る私にとっては、大体において矢張り以前と同じようだといわざるを得ない。 それに往年の大震災には、下町方面は殆ど全部|灰塵に帰して、今やその跡に新たなる東京が建....