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往時
「往時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
往時の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
のせいだろうと思うんだ。」 「そうして、不可いお方だったの。」 少年はそぞろに
往時を追懐すらむ、慨然としたりけるが、 「不可いどころの騒じゃない、姉様を殺した....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
郎の墳墓なる埋葬地の間近に来り、心着けば土饅頭のいまだ新らしく見ゆるにぞ、激しく
往時を追懐して、無念、愛惜、絶望、悲惨、そのひとつだもなおよく人を殺すに足る、い....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
がかない、こんなうれしいことはございませぬ。よくまァ御無事で……些ッとも姫さまは
往時とお変りがございませぬ。お懐かしう存じます……。』現世らしい挨拶をのべながら....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
、昼間は気付かなかった露台の影絵、パタンやブルマンの|喧囂たる取引は、さながら、
往時バグダッドの繁栄そのものである。 平太鼓が聴える……。それを子守唄に、寝れ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
。 いいえ、ここまで云えば、私と久米八とが双生子の兄妹だったということも、また
往時の慣習からして、双生児の畜生児は殺さねばならなかったということも、さらに里虹....
「晩春」より 著者:岡本かの子
の子供の頃、店の小僧に手伝って貰って、たもを持ってよく金魚や鮒をすくって楽しんだ
往時を想い廻した。その後、すっかり、振り向きもしなくなったこの堀が、女学校を卒業....
「楠公夫人」より 著者:上村松園
を心の中で描いてみた。 スケッチがすむと私は夫人ゆかりの観心寺その他を一巡して
往時を偲んだ。 もう一年にもなるが、私の楠公夫人はまだ下絵を描くところにまでも....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
るが、これはおそらく古い「神名帳」のままを収録したもので(「延喜神名帳』は他にも
往時のまま改めざる証少からず)、当時の実際ではない。したがってこのことは、かえっ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
となし、寺院の数五万五千二百六十三棟、僧侶の数七万六千五百六十人あり。そのほか、
往時は僧坊一千五百六、尼坊八百七十六、坊僧二万八千九百九十一人、尼一万四千百八十....
「西航日録」より 著者:井上円了
感無窮、英艦露兵西又東、大陸風雲日将急、黄竜何歳見晴空。 (上海の市街を一望して
往時を思い感慨きわまりなく、英国の軍艦や露国の兵が西より来たり、東より来たる。中....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
奏し、大統領の席前に敬礼して過ぐるを傍観す。動止整然たり。当日、コロンブス発見の
往時を回想して一詩を賦す。 希世壮図何物遮、閣竜究尽水天涯、当年移殖文明種、今作....
「越年」より 著者:岡本かの子
もしたらと用心して確っかり握りしめてついて来た加奈江は、必死に手に力をこめるほど
往時の恨みが衝き上げて来て、今はすさまじい気持ちになっていた。 「なぜ、私を撲っ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
を伸ばした。その為には、権右衛門の足に触れる必要があった。 権右衛門はしかし、
往時を回想しているとはいえ、政江と同じ六百円から十万円貯めるまでの径路ではなく、....
「エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
往時「エタ」と呼ばれておった不幸なる人々は、本来いかなる性質のものか、またいかな....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
れとして又その向々の人によって、定めて大入繁昌をしていることと思うが、私としては
往時をしのぶにつけて何となくさびしい思いをせざるを得ないのである。場所もよし、あ....