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「往返〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

往返の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
行くこともあったが、内気らしい細君は、誘わるるままに素直について往った。おとらは往返《いきかえ》りには青柳の家へ寄って、姉か何ぞのように挙動《ふるま》っていたが....
悟浄歎異」より 著者:中島敦
汝《なんじ》の通力がそもそも何事を成しうるというのか? 汝は先刻からわが掌の内を往返したにすぎぬではないか。嘘《うそ》と思わば、この指を見るがよい。」悟空が異《....
名人伝」より 著者:中島敦
《かっこう》で、瞬きせざる修練を重ねる。二年の後《のち》には、遽《あわた》だしく往返する牽挺《まねき》が睫毛《まつげ》を掠《かす》めても、絶えて瞬くことがなくな....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の霊を祭るつもりで居る。 夕方三人で又一君宅の風呂をもらいに行く。実は過日来|往返の毎に斗満橋の上から見て羨ましく思って居たのだ。風呂は直ぐ川端で、露天に据え....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
旦那のお見舞?」 「はあ、旦那の見舞に」 「これはひどい、旦那の見舞に行きながら往返とも素通りは実にひどい。娘も娘、御隠居も御隠居だ、はがきの一枚も来ないものだ....
十二支考」より 著者:南方熊楠
人少しも色に迷わず、夥中《かちゅう》最も第一の美妓しきりに誘えど、〈我邪念なし、往返徒労なり〉と嘯《うそぶ》いたとは、南方先生の前身でもあったものか、自宅によほ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
れを行きたがるわけでもなく、要するに女の特別の頼みと、駕籠屋が山上に住んでいて、往返《おうへん》の距離と案内においてかえって優れているせいと思われます。女は、そ....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
、水の中で命のやりとりの大芝居をして帰ったのが亥の刻過ぎたというから十時である。往返をマラソンでヘビーを掛け、水中の実演を余程高速度で埒を明けなければとても十時....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ややかにして冬に入りたるを覚ゆ。数日前、山上に降雪ありたりという。電車にて市外に往返せるに、各戸庭前に数種の菊花を栽培せるありて、車上観菊の遊をなすを得たり。 ....
加波山」より 著者:服部之総
っともこれは本来ならばバスも通う道路であって、親鸞が稲田から鹿島《かしま》行方に往返のたび越えたのは東寄りの山路であるそうな。本願寺の開基|覚如《かくにょ》の作....
汽船が太平洋を横断するまで」より 著者:服部之総
革命が起る、とマルクスが叫んだほど。 そのシナの茶とアメリカ人参《にんじん》の往返が太平洋を忌避し、太平洋が帆船にとっても超ゆべからざる地表の大クレヴァスだっ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
。山陰山陽十六ヵ国にわたる軍令権のみゆるしは、その挙にあたっていちいち都へ使いを往返していてはまにあわないのですべてをゆだねられたものではあった。けれどこれもま....
私本太平記」より 著者:吉川英治
季にべつな目的もあったらしい。 駐軍の事を終ると、彼は、叔父の松尾季綱に、 「往返、二タ刻とはかかりますまいから」 と、何処へかいそいで行った。 従者には....
私本太平記」より 著者:吉川英治
渡しだった。それが主である。だが、尊氏にはこれが呑めない。そのため、相互の使者の往返が三、四度にもおよんだ。結局、師直、師泰は高野山へのぼらせて生涯を出家遁世に....