待遠しい[語句情報] »
待遠しい
「待遠しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
待遠しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
と一しょに承知の旨を答えると、早速電話を切りましたが、さあそれから日の暮までが、
待遠しいの、待遠しくないのじゃありません。算盤《そろばん》を弾く。帳合いを手伝う....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
うとうと》しくなっていたあの男が、婚礼の晩にどんな顔をして来るかと思うと、それが
待遠しいようでもあり、不安なようでもあった。
その日は朝からお島は、気がそわそ....
「行人」より 著者:夏目漱石
彼をそのままにして、麻の座蒲団《ざぶとん》の上に胡坐《あぐら》をかいた。それでも
待遠しいので、やがて袂《たもと》から敷島《しきしま》の袋を出して、煙草を吸い始め....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
の間から時計を出して御覧なすったり、あちこちと御部屋の内を御歩きなすったりして、
待遠しいという風でした。その時、私は御客様と奥様と見比べて、思当ることが有ました....
「新生」より 著者:島崎藤村
の名を呼んでその葉書を渡してくれた。多くの仏蘭西人の船客の中でも、便《たよ》りの
待遠しいその港で葉書なり手紙なりを受取るものは稀《まれ》であった。岸本が神戸を去....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
三自分にも思ッたが、どうしたものか感涙も流れず、唯|何《なに》となくお勢の帰りが
待遠しい。 「畜生、慈母《おっか》さんがこれ程までに思ッて下さるのに、お勢なんぞ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
お嫁様をお持ちになったお婿様の果報が思いやられます、お里帰りの五日が、どんなにお
待遠しいことでしょう、両方の親御さんたちも本当にこれで御安心。ああいうことを見ま....
「農村」より 著者:宮本百合子
に吸《すい》よせられて元の姿にじいっとして居るのであった。 斯うやって子供達の
待遠しい時間は、ゆるゆると立って漸く鍋の中から、白い湯気が立ちのぼり、グツグツと....
「小豆島」より 著者:黒島伝治
起きる。そうすると、日の長いこと。十一月末の昼の短い時でも、晩が来るのがなか/\
待遠しい。晩には夜なべに、大根を切ったり、屑芋をきざんだりする。このあいだ、昼間....
「雨夜の駅」より 著者:宮城道雄
に雨の音がしている。私はそれを聞いていて、また雨夜の汽車定めだと思った。 私は
待遠しいので時計を幾度も出してさぐった。余程時間が経ったつもりでさぐってみても十....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
れど、夜は怖い。ひどい風だからねえ、まるで怒濤の中でもいるようで、夜の明けるのが
待遠しい。それに天井からは蜘蛛やら蚰蜒やら落ちてくるしね……」 「そういったわけ....