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徊
「徊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
馬の看病にも心を尽した。ところがある日|葺屋町《ふきやちょう》の芝居小屋などを徘
徊《はいかい》して、暮方宿へ帰って見ると、求馬は遺書を啣《くわ》えたまま、もう火....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
、それでも猶、己はあの女を愛しているせいかも知れない。」
盛遠《もりとお》は徘
徊を続けながら、再び、口を開かない。月明《つきあかり》。どこかで今様《いまよう》....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
勿論猿でさえこのくらいだから、少し面倒な語《ことば》になると、何度もその周囲を低
徊した揚句でなければ、容易に然るべき訳語にはぶつからない。しかも毛利先生はその度....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
《なれなれ》しく近状を尋ねかけた。勿論マルセイユの往来に、日本人の赤帽なぞが、徘
徊《はいかい》しているべき理窟《りくつ》はない。が、夫はどう云う訳か格別不思議と....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――下人の考えは、何度も同じ道を低
徊《ていかい》した揚句《あげく》に、やっとこの局所へ逢着《ほうちゃく》した。しか....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
て居りました。
この多襄丸《たじょうまる》と云うやつは、洛中《らくちゅう》に徘
徊する盗人の中でも、女好きのやつでございます。昨年の秋|鳥部寺《とりべでら》の賓....
「或る女」より 著者:有島武郎
登って帰って来るまでも葉子は旅館の閾《しきい》をまたがずに桜の並み木の下などを徘
徊《はいかい》して待っていた。さすがに十一月となると夕暮れを催した空は見る見る薄....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ゆら》るる小舟《おぶね》のごとく、安んじかねて行きつ、還《もど》りつ、塀ぎわに低
徊《ていかい》せり。ややありて渠は鉢前《はちまえ》近く忍び寄りぬ。されどもあえて....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
安とに勤んでいる。他人の畑を収穫するものは罪に問われる。道路を歩まないで山林を徘
徊するものは警戒される。それはそうあるべきことだ。何故といえば、畑はその所有者の....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
言ってね、お前さん、 (それ、雪は鵝毛に似て飛んで散乱し、人は鶴※を着て立って徘
徊すと言えり……か。) なんのッて、ひらひらと来る紅色の葉から、すぐに吸いつけ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
懐さに、あの日、その邸の用も首尾すまいて、芝の公園に参って、もみじ山のあたりを俳
徊いたし、何とも涙に暮れました。帰りがけに、大門前の蕎麦屋で一酌傾け、思いの外の....
「墓」より 著者:秋田滋
た。 すぐに寐床を降りていってみると、どうやら小屋のまわりをルンペンか何かが徘
徊してでもいるらしく、犬は、夢中になって吠えながら、頻りに戸の下のところを嗅いで....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
かえるうち、巡行の巡査の見咎むるところとなり、「御身は何の所用ありてこの橋上を徘
徊さるるぞ」と問われたり。予もこの頃は巡査に訊問さるるは何にかかわらず不快に感ず....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
。疾風が木々のあいだを吹き過ぎると、もしや「早駈けヘッセ人」がまたもや夜ごとの徘
徊にさまよいでてきたのではないかと、すっかり狼狽してしまうのだった。 しかし、....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
いのに違いない。たといデカダンスの詩人だったとしても、僕は決してこういう町裏を徘
徊する気にはならなかったであろう。けれども明治時代の風刺詩人斎藤緑雨は、十二階に....