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後れる
「後れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
煩いよ。」 などと言いながら、茶碗に装って、婦たちは露地へ廻る。これがこのうえ
後れると、勇悍なのが一羽|押寄せる。馬に乗った勢で、小庭を縁側へ飛上って、ちょん....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
四十五 妙なことが有るもので、夜ごとに、道子が早瀬の病室を出る時間の
後れるほど、人こそ替れ、二人ずつの看護婦の、階子段の欄干を離れるのが遅くなった。....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
球上でそれと認められるのは、ちょうど光が地球軌道の直径を通過するに要する時間だけ
後れるわけである。これに要する時間は平均九九七秒である。これに対してロェーマーの....
「応仁の乱」より 著者:菊池寛
化身と世人に畏怖せられて居た宗全も、本当に陣中に急逝したのである。 宗全の死に
後れること約二ヶ月、細川勝元も五月二十二日に病※した日は共に、風雨烈しい夜であっ....
「狂乱」より 著者:近松秋江
いた女の廃めた後を探ねて来る阿呆な男と笑われはせぬかという気が先きに立って、心が
後れるのを、そんなことを恥かしいと思って、引込み思案でいては、ますます自分の身一....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
もなったら、かえって身を棄て鉢に思いきったことが出来る、生半に身を厭えばこそ心が
後れるのだ、誰か男が背後についているにちがいないとすれば大抵夜の八時九時時分には....
「道徳の観念」より 著者:戸坂潤
化せざるを得ないのである。ただ、原因の変化に較べて結果の変化の方は、大体時間的に
後れるもので、道徳と現実とはその意味でいつも或る種の矛盾撞着を免れない。そういう....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
信仰を疑わずにはいられない。キリストの人格を崇拝する点において私はけっして彼らに
後れるものではない。私の行方にはキリストが立ってるとさえ思っている。ことに「愛」....
「もくねじ」より 著者:海野十三
れに間違っていれば、すぐ取替えて来てもらわないと、折角ここまで急いだ仕事が、また
後れるよ。急がば廻れ。念には念を入れということがある」 「ちぇっ。十分念を入れて....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
言うのには、手水は発動機で汲上げている処、発電池に故障があって、電燈もそのために
後れると、帳場で言っているそうで。そこで中縁の土間の大な石の手水鉢、ただし落葉が....
「女と帽子」より 著者:豊島与志雄
けのことです。時間を気にしなくてもいいですよ、きっと波江さんは来ます。少しくらい
後れるかも知れませんが、まあゆっくり落着いておいでなさい。精根つきたって様子をし....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
を試みたくもなるのである。だが人間はそんなに無理の利くものではない。註文の時間に
後れるとか間に合わせの品が出来るとかして、とかく不成績に終り、その上店売の製品に....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
一日も発行期日を誤らざる事肝要かと存候。それも一日や二日ならとにかく、十日二十日
後れるに至っては、殆んど公らが気に向いた時は発行しいやな時はよす慰み半分の雑誌と....
「殺人迷路」より 著者:甲賀三郎
。そうして、口の中で、 「アア、とうとう――」と呟いた。 津村と村井とは、互に
後れるのを恐れるように、犇めきながら部屋の中に這入って、扉をピッタリと閉めた。 ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
った。素知らぬ顔をして横目もくれず登って行く南日君を駆抜いてやろうと思うが、反て
後れる許りだ。これまでカンジキさえ穿けば疾く登れるものと信じていたのは大間違いで....