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後味
「後味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
かし、草履をはいた陽子の後姿は、いつまでも瞼にこびりつき、淡い失恋の甘さにも似た
後味があった。 「これでいいのだ」 ほっとした諦めであった。陽子を見た途端「し....
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
る。―― 「ああ、そうですな」少し間誤《まご》つきながらそう答えた時の自分の声の
後味がまだ喉《のど》や耳のあたりに残っているような気がされて、その時の自分と今の....
「競馬」より 著者:織田作之助
馬があっけなく楽勝した。そしてそれが淀の最終|競走《レース》であった。寺田は何か
後味が悪く、やがて競馬が小倉《こくら》に移ると、1の番号をもう一度追いたい気持に....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ら受ける感じというのは、柄にもない飛び上りな行いをした後に毎時でも残される苦しい
後味なのだ。お前は一方に崇高な告白をしながら、基督のいう意味に於て、正しく盗みを....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
血染の昇降機」を書き了える。三十枚で、さっぱりまとまらず。書き直したが香しからず
後味わるし。 ◯朝、自由出版より電話あり、来る十五日の会合につき問合はありたるも....
「大使館の始末機関」より 著者:海野十三
やれ、醤どののためとはいえ、殺生なことをしてしまったわい」 王老師は、ちょっと
後味のわるさに不機嫌な表情をつくった。 醤は、もう話はすんだと、卓子の下から脱....
「織田信長」より 著者:坂口安吾
コトンまで信長に飜弄されたことを知った。自分の方が飜弄するつもりでいただけ、その
後味はひどかった。道三は信長の人物を素直に見ぬくことができたが、信長の家来どもは....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
いた。こんなことは、ここ三年間に始めてのことで、たいがい翌月廻し、無期延期などゝ
後味のわるい月日を送ってきたが、珍しく二十日のうちに五ツほどの仕事がキチンと片づ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
う云うと、姉は新子の鋭鋒を避けるように、トントン二階へ逃げ上った。 姉と争った
後味の悪い気持で、お店へ来ると、女給の一人の妙子という、チンマリと可愛い顔の少女....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
床の中で私は姉と長く話した。姉が疲れて寝入っても私はまだ寝つかれなかった。芝居の
後味と鶴子の幻影とがひとつにもつれ合って、なやまされた。 「彼女に聞えたのだろう....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
お客も認めています。帰ると、その足で、交番へ行ったんですからね。卑怯なお客です。
後味が悪いですよ。 近頃はタチの悪い客が多くなりましたよ。散々のんでから、「キ....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
落付き払っていられるけれども、思わぬところに本名がでていることもあるから、どうも
後味がよろしくない。 何とか軍記というような後世の俗書などに何々院何々大姉がち....
「米」より 著者:犬田卯
にかぶとを脱いでしまった。――いや、脱がせられてしまった何とも名状しがたいいやな
後味が、にがっぽく頭の中にこびりついていて、物をも言わず、彼は自分のお膳をひっぱ....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
し、そのいたずらが結局殺人行為となってみると、いかな豹吉でも、さすがに薄気味悪い
後味は心の底に残っていた。 そして、そんな自分をあざ嗤っていた。 「なんや、怖....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
と判った。 が苦笑しなかった。 むしろ、抒情的な音楽を聴いたあとのような甘い
後味が残り、唇の間からちょっと舌を覗かせて、照れ症らしく天井や壁をにやにや見なが....