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後目
「後目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後目の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
とお里とを結びつけて考えなければならなかった。彼女は黙って茶を飲みながら、絶えず
後目《しりめ》づかいをして、お里の髪形から物言いや立ち振舞いをぬすみ見ていた。 ....
「草枕」より 著者:夏目漱石
から、余と三歩の隔《へだた》りに立つ、体《たい》を斜《なな》めに捩《ねじ》って、
後目《しりめ》に余が驚愕《きょうがく》と狼狽《ろうばい》を心地《ここち》よげに眺....
「野分」より 著者:夏目漱石
よ。いいからいらっしゃいよ。構わないでも、いいからいらっしゃいよ」と女は高柳君を
後目《しりめ》にかけたなり塩瀬を引っ張って行く。 高柳君はぽつぽつ歩き出した。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
んでいた。半七は隅の方に坐って、好い加減な誂え物をした。 男も女も時々こっちを
後目《しりめ》に視ていたが、格別に気を置いてもいないらしく、火鉢に仲よく手をかざ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ないが、なんでも兄さんなる人物に、磁力の強いニッケルを持たせて置いて、遠方から背
後目懸けて短剣を抛げた。短剣は磁力に強く引きつけられ、覘い誤らずズブリと背中を刺....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
が、追放の衆議の圧迫に負けてしまってとうとう入院させて手術を受けさせた。 手術
後目立っておとなしく上品にはなったが、なんとなく影の薄い存在となったようである。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
福村は神尾を抑えたり抱えたりして、うろたえ廻っているのを、お銀様は冷笑気味で
後目《しりめ》にかけて、弁信が投げ込まれた井戸へ近づこうとしたが、井戸の屋根の柱....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
スの存在ではないということを言う者もある。しかし、御当人は、左様な噂を一切見えぬ
後目《しりめ》にかけて、山科谷から、島原の色里にまで、影を追うて往年の紅燈緑酒の....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ようなことになったりして、やや軽いふうにも見られたのが、皇子のお生まれになって以
後目に立って重々しくお扱いになったから、東宮にもどうかすればこの皇子をお立てにな....
「源氏物語」より 著者:紫式部
かと思うと言った時の人の顔を近くに見て幻滅が起こりませんか」 と言う源氏の君を
後目《しりめ》に女は見上げて、 光ありと見し夕顔のうは露は黄昏時《たそがれどき....
「黒い手帳」より 著者:久生十蘭
った調子で、「三十五《トラント・サン》……黒《ノアール》……奇数《アンペア》……
後目《パツス》……」などと一週間も前に出たモンテ・カルロのルウレットの出目を読み....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
ん、どうでも真打にしようてンなら、きょうこう限りお前はん、落語家を廃めてあいつに
後目を譲ってやんねえ、そうすりゃ……そうすりゃあ俺……」 フフンと肩でせせら笑....
「めくら星」より 著者:小川未明
そんなに家へ入りたければ、逃げた鳥を探して捕まえてくるがいい。」と、母親は、娘を
後目にかけてしかりました。 娘はやっと顔を上げて、 「三郎さん、わたしは、きっ....
「火を点ず」より 著者:小川未明
くなるとどろぼうになるんだ。」 男は、小さな手で両眼をこすって泣き出した少年を
後目にかけて、ののしると町の方へ引き返してしまいました。 神社の境内にあった、....