後退り[語句情報] » 後退り

「後退り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

後退りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
主税の胸を刺した。 「どこへ行くんだ。」 これで突放されたようになって、思わず後退りすること三尺半。 この前の、原一つ越した横町が、先生の住居である。そなた....
深夜の市長」より 著者:海野十三
、速水に何か耳うちをした。自動車はゴトゴトと音をたてながら、傍の狭いギャレージに後退りしながら入っていったが、ギャレージの中にも二人ほど立ち働いている若者がいて....
」より 著者:海野十三
んできたのだ。ああ、妻の死体を嘗めた蠅が、そこの壁の上に止まっている!」 彼は後退りをすると、背中を壁にドスンとぶつけた。 「……で、その妻は、一体誰が殺し、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
まだ三間とは進まないうちに、道は塞がって行く手をさえぎられた。彼はよんどころなく後退りをして戻った。 「行かれませんかえ」と、亀吉は訊いた。 「抜け裏じゃあねえ....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
るみるうちに、硝子樽一ぱいに拡がりました。 「これはッ――」 と思って、一同が後退りをしたその瞬間、がちゃーンという一大音響がして、サッと濛々たる白煙が室内に....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
来るかもしれません。提督、どうか奥へおはいり下さい」 「うむ、――」と、提督は、後退りしながら、はっとした思いいれで、 「おお、お前は誰か」 「私は――」 「お....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
立留ったり、考えたり、庭前、垣根、格子の中。 「はてな。」 屋の棟を仰いだり、後退りをまたしてみたり。 「確に……」 歩行出して、 「いや、待てよ……」 ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
頸を擦着け擦着け、 (お助け下さい、お助け!)…… と頭で尺取って、じりじりと後退り、――どうやらちっと、緊めつけられた手足の筋の弛んだ処で、馬場の外れへ俵転....
人造物語」より 著者:海野十三
たりすると、その音が送話器から電流を通じてモートルに働きかけ、その結果として犬は後退りをしながら「ウーウー」とうなる。うなり声はスピーカーによって大きくもなれば....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
、その瓜実顔を少く傾けて、陽炎を透かして、峰の松を仰いでいた。 謹三は、ハッと後退りに退った。――杉垣の破目へ引込むのに、かさかさと帯の鳴るのが浅間しかったの....
三枚続」より 著者:泉鏡花
遠慮をしました。 いつものようにお台所へ下ってお末の出尻と一所に頂くべいとね、後退りに出ようとすると、愛吉さん一ツあげましょうかと、お夏さんが言ったんです。 ....
雪柳」より 著者:泉鏡花
いた、唐桟柄の羽織で、黒い前垂をした、ぶくりとした男が、舞台で目を白くする絶句に後退りをしながら振返ったのが、私に気がつくと、そのまま……熟と視た。 開演中で....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
津吉を打撞ったように見ると、眉はきりりとしたが優しい目を、驚いた様に※りながら、後退りになって隠れたが。 しばらくすると、そっと、うしろから、わざと足数を拾っ....
和製椿姫」より 著者:大倉燁子
遊んでいらっしゃい、ねえ?』と云って、肩へ手をかけ、顔を覗き込んで、思わずあっと後退りました。 それはなんと十ばかりの少年でした。 寒さと飢えとで震えている....
鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
んか。そんな人達の手にかかって捕縛されるよりはむしろ――」 と言ってじりじりと後退りながら、やにわに左手の指輪をぬいて、ハッシとばかり赤星の顔に投げつけ、飛鳥....