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徐々
「徐々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徐々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
、限りなく蒼い空は、まるでそれが耳へはいらないように、一尺ずつあるいは一寸ずつ、
徐々として彼の胸の上へ下って来る。その蒼い※気《こうき》の中に、点々としてかすか....
「或る女」より 著者:有島武郎
て行って、輝くひとみの色は優しい肉感的な温《あたた》かみを持ち出して来た。汽車は
徐々に進行をゆるめていた。やや荒れ始めた三十男の皮膚の光沢《つや》は、神経的な青....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
っ越したり。御者はやがて馬の足掻《あが》きを緩《ゆる》め、渠に先を越させぬまでに
徐々として進行しつ。 車夫は必死となりて、やわか後《おく》れじと焦《あせ》れど....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
と称《とな》えらるる自己否定的の傾向は、誰も知るごとく日露戦争以後において初めて
徐々に起ってきたものであるにかかわらず、一方はそれよりもずっと以前――十年以前か....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
直してお話しなさい。」と云う時、きょときょと目で、お妙の俯向いた玉の頸へ、横から
徐々と頬を寄せて、リボンの花結びにちょっと触れて、じたじたと総身を戦かしたが、教....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
飛沫はしぶきとくずれ込む。 その猛烈な力を感じてか、断崕の出鼻に降り積もって、
徐々に斜面をすべり下って来ていた積雪が、地面との縁から離れて、すさまじい地響きと....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
合二つの穴の明いた半円形の管が一本ある。朝になると太陽がその東の穴から出てきて、
徐々に高く昇ってゆき、天の南を過ぎて西方の穴へと降ってゆき、そこへ届くのが夜の初....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、ただ迷児迷児と喚きました処で分るものではございません。もう大分町も離れました、
徐々娘の名を呼びましょう。」 「成程々々、御心附至極の儀。そんなら、ここから一つ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
と、出損なった嚔をウッと吸って、扇子の隙なく袖を圧える。 そのまま、立直って、
徐々と、も一度戻って、五段ばかり石を築いた小高い格子戸の前を行過ぎた。が溝はなし....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
別荘の背戸へ出たよう、扱帯で褄取らぬばかりに、日の本の東西にただ二つの市の中を、
徐々と拾ったのが、たちまち電のごとく、颯と、照々とある円柱に影を残して、鳥居際か....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
タスは蒼ざめながら言った。 ラザルスのその眼は、あたかも永遠にあかずの重い扉が
徐々にあいて来て、その隙き間から少しずつ永劫の恐怖を吐き出しているようでもあった....
「取舵」より 著者:泉鏡花
かくは呟きぬ。 この「厄介」とともに送られたる五七人の乗客を載了りて、観音丸は
徐々として進行せり。 時に九月二日午前七時、伏木港を発する観音丸は、乗客の便を....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
、あの嵐のように女を愛したアキレス同然である。だから、イカバッドはしずかにそっと
徐々に前進しはじめた。歌の先生としての資格を利用して、彼はその邸に足しげく訪れた....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
。 漁史は、手応の案外強きに呆れ、多少危懼せざるに非ざれども、手繰るに従いて、
徐々相近づくにぞ、手を濡らしつつ、風強き日の、十枚紙|鳶など手繰る如く、漸く引き....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
、全戦争に対する作用はそう大した事は無く、敵はケーニヒグレッツ附近に止まり、王は
徐々に追撃してその前面に進出、数カ月の対峙となった。けれども大王は兵力を分散しか....