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徐に
「徐に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徐にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
開いて、十三四の小娘が一人、慌しく中へはいって来た、と同時に一つずしりと揺れて、
徐に汽車は動き出した。一本ずつ眼をくぎって行くプラットフォオムの柱、置き忘れたよ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
た。この宝庫が代々に持ち伝えられる間に次第に拡張されるにしてもそれはただ非常に緩
徐にしか行われなかった。種族が合同して国家を形成する方が有利だということが分って....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
幾らも来ますから……』とて、静に坐に直り、綸を埋めて、更め投下しぬ。 漁史は、
徐に身を起し、両腕|拱きて首を垂れしまま、前に輪を為せる綸を埋めんともせず、小ラ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
は、瞼に色を染めたのである。 と、早瀬は人間が変ったほど、落着いて座に返って、
徐に巻莨を取って、まだ吸いつけないで、ぴたりと片手を膝に支いた、肩が聳えた。 「....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
れて登場。姿を粛に、深く差俯向き、面影やややつれたれども、さまで悪怯れざる態度、
徐に廻廊を進みて、床を上段に昇る。昇る時も、裾捌き静なり。 侍女三人、燈籠|二個....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、渠は窈窕たる佳人であった。 「いや、御遠慮を申す、御遠慮を申す。」 と丹平は
徐に。かくて自ら自分等を廊下の外に閉め出した。その扉が背を圧するような、間近に居....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
思いを一度して見たまえ。」 と力強く云って、また小松原は溜息で居る。 医師は
徐に、煙草盆を引寄せて、 「それ、そこが苦労性だと言うのです。窓を開けたまんまで....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
低き波のごとく見下しつつ、昨日通った坂にさえ蟻の伝うに似て押覆す人数を望みつつ、
徐に雪の頤に結んだ紫の纓を解いて、結目を胸に、烏帽子を背に掛けた。 それから伯....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
か、緑翠暗きあたり白き鸚鵡の見え隠れに、蜩一声鳴きける時、手をもって涙を拭いつつ
徐に謙三郎を顧みたり。 「いいえね、未練が出ちゃあ悪いから、もうあの声を聞くまい....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
陽を望みつつあり。鐘楼は柱に蔦からまり、高き石段に苔蒸し、棟には草生ゆ。晃やがて
徐に段を下りて、清水に米を磨ぐお百合の背後に行く。 晃 水は、美しい。いつ見ても....
「山吹」より 著者:泉鏡花
たか。 画家 ああ、逢いました。 夫人 何とも申しはいたしません?…… 画家 (
徐に腕を拱く)さあ……あの菊屋と野田屋へ向って渡る渡月橋とか云うのを渡りますと、....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
の間に、早瀬、ベンチを立つ、お蔦縋るようにあとにつき、双方涙の目に月を仰ぎながら
徐にベンチを一周す。お蔦さきに腰を落し、立てる早瀬の袂を控う。 お蔦 あきらめら....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
ると鴎外は大喝して、「モウ十二時とナゼいわん、」と叱りつけた。私は気の毒になって
徐に起ち掛けようとすると、「マダ早いよ、僕の処は夜るが昼だからね。眠くなったらソ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
合わせの酒や肴を馳走すると、青年はひどく気の毒がっているようでしたが、帰るときに
徐に言いました。 「わたしはここから五、六里のところにある別荘に住んでいる者です....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
は何を吠えていたのだ。」 市郎が旧の座敷へ戻って来ると、安行は煙草を喫みながら
徐に訊いた。 「いや、表に変な女が立っていましてね。後で聞けばお杉とか云う乞食だ....