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徐行
「徐行〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徐行の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
満載した荷車を曳いていくのだった。 2 青バスが爆音を立てながら
徐行を始めた。二、三台のタクシーがその後へつかえた。貨物自動車が停《と》まった。....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
婚らしい若い男女が、寝呆け顔をして収まっていた。 「いま、クーペに逢ったろう?」
徐行しながら運転手が、向うの同業者へ呼びかけた。 「逢ったよ。有料道路の入口だ!....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
霧の中から灰色の物が見えて来た。纐纈城の石垣である。船は石垣に添いながら東の方へ
徐行する。すると遥かの霧の奥から黄金色の光がおぼめいて響いて止んだ時には、船は水....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
田峠に近づかず、諏訪松本両勢の苦戦をも救おうとせず、必ず二十里ずつの距離を置いて
徐行しながら水戸浪士のあとを追って来たというのも、そういう幕府の追討総督だ。 ....
「火星探険」より 著者:海野十三
ある。 少年たちの自動車は、ゆうゆうと黄いろ味がかったR瓦斯《ガス》の雲の中を
徐行して行く。なにしろ石ころが多いために、車が走らないのであった。 研究団員が....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
みたして運ばせる。すると目のところへ捧げ持つてお盆のフチを鼻柱へくッつけて静々と
徐行してくる。慎重に一足づゝすらせてくるからカタツムリの如くにのろい。 「ハハア....
「倫敦の一夜」より 著者:岡本綺堂
勿論、十分の速力を出して駈るわけには行かないので、唯わあわあ云いながらよたよたと
徐行していると、その左右からもうしろからも同じく鬨の声をあげながら後押をして行く....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
を切り始めた。 「あなたの車なんか、よごさないわよ。ヨッパライを乗せてるんだから
徐行してよ。お金なら、いくらでもまして上げるわよ。」運転手は、苦笑しながら、しか....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とその連れの男と、私とわたしの無形の愛の光りとは、ふた組になってジャッコの周囲を
徐行した。道は雨水で川のようになっている。松からは樋のように下の岩へ雨だれを落と....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
い贋金は、早く早く返さなければならない! 「停めろ!」と私は呶鳴るように云った。
徐行し、そうして停車した。 「どのお家! 佐伯さんのお家は?」 妻が私に呟いた....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
成功したでしょう。私のいたのはあなたにとってはとんだ災難というものです……汽車が
徐行を始めましたね。まだオムスクへは着かない筈だ。さては石炭の供給かな。とにかく....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
トホームに立っていた助役の磯というのが、私の手から奪うように葉書を取って、すでに
徐行を始めた列車を追うて、一二等室の前を駆け抜けたが、 「高谷さん! お忘れもの....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
者に見てもらおうか。 易者はふっと首を動かせた。視線の中へ、自動車がのろのろと
徐行して来た。旅館では河豚を出さぬ習慣だから、客はわざわざ料亭まで足を運ぶ、その....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
カントン街路はその狭隘なること、一間ないし二間に過ぎず。轎と轎と相会するときは、
徐行してようやく過ぎ去る。下に石を敷き、上に日よけを張り、白昼なお薄暮のごとくな....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
無事にホテルを出た。しかし出帆までにはまだ大分時間があるので、運転手は気を利かせ
徐行していたので、後から来る幾台もの自動車に追い越された。京浜国道を真直ぐに鈴ヶ....