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徒労
「徒労〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徒労の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
隠して、秋晴れの日本橋《にほんばし》を渡る時でも、結局彼等の敵打《かたきうち》は
徒労に終ってしまいそうな寂しさに沈み勝ちであった。
その内に筑波颪《つくばおろ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
たことはない。かつまたこの代赭色の海を青い海に変えようとするのは所詮《しょせん》
徒労《とろう》に畢《おわ》るだけである。それよりも代赭色の海の渚《なぎさ》に美し....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
ばならぬ。そしてこの思想がかくばかり早く唱えだされたということは、決して無益でも
徒労でもないといいたい。なぜならば、かくばかり純粋な人の心の趨向《すうこう》がな....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
を忘れることはない。ただ私はそれらのものを私の現在から遊離して考えるのを全く無益
徒労のことと思うだけだ。それらのものは厳密に私の現在に織りこまれることによっての....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
戻って来た。その刑事は、館内の隅々までも捜索したにかかわらず、易介の発見がついに
徒労に帰したという旨を報告した。法水は眉のあたりをビリビリ動かしながら、
「では....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
くさい自己反省にとらわれることなく、空の広さものびのびと飛びながら、老いたる鴉が
徒労の森の上を飛ぶ以外に聴き手のない駄洒落を、気取った声も高らかに飛ばしはじめた....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
なるべく人目にたたないように城塞へ入り込み、いろいろ調べもしたが、ついに宝探しは
徒労に終ったんだそうだ。それにこの島は今のところ、民主国側へも枢軸国側へもはっき....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
下したが、その後は多年|麓も見舞わぬ、倶利伽羅峠を、というに過ぎぬ。 けれども
徒労でないのは、境の家は、今こそ東京にあるが、もと富山県に、父が、某の職を奉じた....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
心配の原因をどうかして探り知ろうとして、あらゆる手段を尽くしてみたが、それはみな
徒労であった。そのうちにエドヴィナ伯爵は、このままでは自然に喰い入ってくる呪いの....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
そうして、古い関係を回復しようとする彼女の努力がいかに間違っているか、またいかに
徒労であるかを彼女に考えさせようとした。 シーズンが終わると、私たちは別れた。....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ることもあるまいかと、水夫の一隊を伴って、終夜前方の氷山を歩きまわったが、それは
徒労に終わった。わたしは彼の行くえ不明について、ここに少しく書いてみよう。もし他....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
熱の些中に、一向腐敗の兆が見えて来ないのですから」 斯うして、法水の努力も遂に
徒労に終って、階下の密室が解けたと思うと、その一階上に、更に新しいものが築かれて....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
の教育家や宗教家がこれらの科学的知識を欠くため渠らの手に成る救済事業が往々無用の
徒労に終るを遺憾とし、自ら感化院を創めて不良少年の陶冶や罪人の矯正をしようという....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
住まねばならぬ。社会運動も労働争議も、この人生の根本義から出発せなければすべてが
徒労である。こう考えて彼が大阪の空を眺めた時に大阪の煙も空の空なるものであった。....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
もう少し気を落付けて、僕の云い分も聞いて下さい』 『もう沢山。詭弁を弄したって、
徒労よ! 私の気持はすっかり貴方を離れちゃった。醒め切った女に未練を残さないで、....