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得たり
「得たり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
得たりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竜」より 著者:芥川竜之介
い早起きでござるな。これは天気が変るかも知れませぬぞ。』と申しますから、こちらは
得たり賢しと鼻を一ぱいににやつきながら、『いかにも天気ぐらいは変るかも知れませぬ....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
に、鷹はたちまち真一文字《まいちもんじ》に重玄の天額をかい掴《つか》みぬ。清八は
得たりと勇みをなしつつ、圜揚《まるあ》げ(圜《まる》トハ鳥ノ肝《きも》ヲ云《いう....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
の前に断乎《だんこ》として否と答うるものなり。試みに天下の夫にして発狂する権利を
得たりとせよ。彼等はことごとく家族を後《あと》に、あるいは道塗《どうと》に行吟《....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
に遭《あ》いぬ。 縦騁《しょうてい》五分間ののち、前途はるかに競争者の影を認め
得たり。しかれども時遅れたれば、容易に追迫すべくもあらざりき。しこうして到着地な....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
学校の教頭じゃないんだから。」 十八 そうすると英吉が、かねて心
得たりの態度で、媒酌人は勿論、しかるべき人をと云ったのが、其許ごときに勤まるもの....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ねばならぬことのように力説し、人間の本能をその従属者たらしめることに心血を瀉いで
得たりとしている道学者は災いである。即ち智的生活に人間活動の外囲を限って、それを....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
まえも目につくように窓の回りを飛び回ったらよかろうと教えてくれました。そこで燕は
得たりとできるだけしなやかな飛びぶりをしてその窓の前を二、三べんあちらこちらに飛....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
いもし許されずは出奔せん覚悟を様子にそれと悟りてか、左まで思わば出京せよと許可を
得たり。 穂垂の息子が東京へエライ者になりに行くぞ目出とう送りてやれよとて、親....
「取舵」より 著者:泉鏡花
傾きぬ。 しなしたり! と渠はますます慌てて、この危急に処すべき手段を失えり。
得たりやと、波と風とはますます暴れて、この艀をば弄ばんと企てたり。 乗合は悲鳴....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
髪は針のごとく、口、耳の脇まで切れ歯たたきしける…… というもの、知己を当代に
得たりと言うべし。 さて本文の九に記せる、 菊地|弥之助と云う老人は若き頃駄賃....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
っしゃいさ。」 俯向きざま掌に掬いてのみぬ。清涼|掬すべし、この水の味はわれ心
得たり。遊山の折々かの山寺の井戸の水試みたるに、わが家のそれと異らずよく似たり。....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ねえ、」 「はい、さようでございますよ。」 「そら、御覧なさい。」と愛吉は説破し
得たりという顔であった。 「愛吉、」 「へい。」 「私が来たから可いようなものの....
「活人形」より 著者:泉鏡花
を始め、やがて幽に眼を開き、糸よりもなお声細く、「ああ、これが現世の見納かなあ。
得たりと医師は膝立直して、水薬を猪口に移し、「さあこれをお飲みなさい。と病人の口....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
従いて相闘いしかば、三十分許りの後には、船頭の助けを得て、沈を手元に引き留むるを
得たり。 既に沈を上げし上は一安心なり、早く挙げ終りて、船頭の苦みを除きたしと....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
断あり。もし百万の軍を動かさざるべからずとせば日本は破産の外なく、またもし勝利を
得たりとするも戦後立つべからざる苦境に陥るべし。 3 露国の崩壊は天与の好機なり....