得意先[語句情報] » 得意先

「得意先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

得意先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
、「これは手前の姉でございます」と答えた。すると三日ばかりたつ内に、その番頭がお得意先を廻りにゆくと云って家を出たなり、いつまでたっても帰らない。帳面を検べてみ....
星座」より 著者:有島武郎
きはしなかった。彼にはこの危地から自分を救いだす方策はすぐにでき上っていた。彼は得意先を丸めこもうとする呉服屋のような意気で、ぴょこぴょこと頭を下げた。そのくせ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に斬り付ける。若い者の銀八はおさんを引っ担いで逃げる。銀八は重い米をかついで毎日得意先へ配っているのですから、十六の小娘を引っ担いで逃げるのは骨は折れません。勿....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
は仕合わせじゃ。坂東の衆は気前がよい。ぬけ目なくその宿所へ立ち廻って、ひとかどの得意先きにせねばならぬぞ」 古塚のことも気にかかりながら、きょうは京じゅうを一....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
一人前の大人並みに家の切りまわしをした。炊事、針仕事、借金取の断り、その他写本を得意先に届ける役目もした。若い見習弟子がひとりいたけれど、薄ぼんやりで役に立たず....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
頼む」 かたく約束して、武士は帰った。伊藤の店には二人の手代がいるが、どちらも得意先へ出廻った留守であったので、この掛け合いは主人ひとりの胸に納めて、誰にもそ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
って近所の人達から羨まれるようになった。七之助は魚商で、盤台をかついで毎日方々の得意先を売りあるいていたが、今年|二十歳になる若いものが見得も振りもかまわずに真....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
り酒屋で、小石川|指ヶ谷町にある。双方が同商売で、しかも近所であるために、互いに得意先を奪い合ったのが喧嘩の基で、おそよは遂に不縁になったらしいという。その余の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
すなわちこれめ組の住居、実は女髪結お増の家と云ってしかるべきであろう。 惣助の得意先は、皆、渠を称して恩田百姓と呼ぶ。註に不及、作取りのただ儲け、商売で儲ける....
あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
蔵前へ行っていた、と云うんです。で、北島町のほうを調べてみると、確かに二、三軒の得意先へ、昼頃に寄っている事は判ったんですが、蔵前のほうは一軒も得意はなく、なん....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
、つげの櫛で鬢の毛を、ぐいと撫でた。 「……気を附けないと……何でも髪結さんが、得意先の女の髪を一条ずつ取って来て、内証で人のと人のと結び合わせて蔵っておいて御....
」より 著者:織田作之助
ら一人前の大人並みに家の切りまわしをした。炊事、縫物、借金取の断り、その他写本を得意先に届ける役目もした。若い見習弟子がひとりいたけれど、薄ぼんやりで役にもたた....
父の怪談」より 著者:岡本綺堂
のそばで怪しい女に出逢ったという者があった。それは蕎麦屋の出前持で、かれは近所の得意先へ註文のそばを持って行った帰り路で一人の女に逢った。女は草履をはいて子供を....
空晴れて」より 著者:小川未明
たリヤカーに積んで、小売り先へ運ぶこともあれば、日に幾たびとなく自転車につけて、得意先に届けなければならぬこともありました。 彼は、自転車のけいこをしながら、....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
て考えてもみた。第一、家を借りたからには家事をしてくれる女もほしい。そんなとき、得意先のアスベスト会社の支配人が女房の話を持込んだ。 『家のお手伝いの妹ですてき....