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「御不浄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

御不浄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
眉山」より 著者:太宰治
ど僕は、ピアニストの川上六郎氏を、若松屋のその二階に案内した事があった。僕が下の御不浄に降りて行ったら、トシちゃんが、お銚子《ちょうし》を持って階段の上り口に立....
懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
ない。ああ、たまらない、たまらない。私は猛然と立ち上る。 おどろくことは無い。御不浄へ行って来たのである。期待に添わざること、おびただしい。立ったまま、ちょっ....
酒の追憶」より 著者:太宰治
、にがいにがいと思いつつ、チビチビやって、そうして必ず、すっくと立って、風の如く御不浄に走り行き、涙を流して吐いて、とにかく、必ず呻《うめ》いて吐いて、それから....
少女地獄」より 著者:夢野久作
たい死にたいと言っておられましたので、私は恐ろしくて恐ろしくて、姫草さんが夜中に御不浄に行かれる時なぞ、後からソーッと跟《つ》いて行った事もありました。……その....
作家の手帖」より 著者:太宰治
さえ大袈裟なもののように思われる。自分の所有権が、みじんも損われないではないか。御不浄拝借よりも更に、手軽な依頼ではないか。私は人から煙草の火の借用を申し込まれ....
振動魔」より 著者:海野十三
片隅へまで行ったが、やがてそのまま柿丘の方へ帰ってきた。 「ねえ、このお部屋に、御不浄はないのですか?」 夫人は顔をすこしばかり顰め、片手を曲げて下ッ腹をグッ....
パンドラの匣」より 著者:太宰治
少しも笑わず、ひとりごとのように小声で言って、「さ、これ貸したげるさかいな、早く御不浄へ行って来て、おやすみ。」 竹さんは自分のはいているスリッパを脱いで僕の....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
が、下着の破れを大あぐら掻いて繕い、また井戸端にしゃがんでふんどしの洗濯などは、御不浄の仕末以上にもの悲しく、殊勝らしくお経をあげてみても、このお経というものも....
新樹の言葉」より 著者:太宰治
ちゃだった。何を言ったか、どんなことをしたか、私は、ほとんど覚えていない。いちど御不浄に立った。幸吉が案内した。 「どこでも知っていやがる。」 「母は、御不浄を....
俗天使」より 著者:太宰治
ん。それまでは、それはそれは、ひどい緊張で物事に当りますの。シャッチョコ張って、御不浄の戸を閉めるのにも気をつけて、口をきゅっと引きしめ、伏眼で廊下を歩き、郵便....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ょっと待ってと云いながら、ビールを売る店のお内儀にコソコソ耳うちしてそのうしろの御不浄に出かけた。 やがて二人は、小暗い道を、ソロソロ元来た方に引返していった....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
も怒らずに、おかみさんは、糊《のり》を煮ていた。お天気のよい日、朝の間《ま》に、御不浄《ごふじょう》の窓から覗くと、襟の後に手拭を畳んであててはいるが、別段たぼ....
紫の壜」より 著者:豊島与志雄
げた彼女の眼が、魚のように見えた。 「ちょっと、用をたしてくる……。」 「あら、御不浄はこっちよ。」 そこの狭い汚い便所が頭に浮び、私はそれが嫌だった。 ―....
乳を刺す」より 著者:邦枝完二
だ。――さア云いねえ」 「はい。……時刻は、はっきりとは判りませんが、真夜中に、御不浄へまいりました時、廊下を足音を忍ばせて、通った者がございます」 「うむ」 ....
おきなわやまとぐち」より 著者:山之口貘
あたる呼び方で、その場の現実的なものをほうふつとさせるのであるが、やあぬくしは、御不浄とか手洗とかみたいに多少間接的な呼び方である。ある人が、訪問先の家で「家の....