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御世辞
「御世辞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
御世辞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
が、羽根《はね》の生えたように売れる時が来るかも知れない。」
清水は見え透いた
御世辞を云いながら、給仕の廻して来た紅茶を受けとると、隣に坐っていた花房《はなぶ....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
やおや私も御伴《おとも》をしたいもんだなどと、だいぶ冗談交《じょうだんまじ》りの
御世辞を使った末、どうぞごゆっくりと帰って行った。 旦那は欝金木綿《うこんもめ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
る。 「御気に障《さわ》ったの――私が悪るかったわ。本当に五重の塔は面白いのよ。
御世辞じゃない事よ」 針鼠《はりねずみ》は撫《な》でれば撫でるほど針を立てる。....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
煙草《たばこ》を呑むかい」 と、どてらが「朝日」の袋を横から差し出した。なかなか
御世辞がいい。袋の角《かど》が裂けてるのは仕方がないが、何だか薄穢《うすぎた》な....
「行人」より 著者:夏目漱石
り並べるんだから止《や》めろと忠告していた。すると客は、なにおれの前へ出た時だけ
御世辞《おせじ》を云ってくれりゃそれで嬉《うれ》しいんだ、蔭で何と云ったって聞え....
「野分」より 著者:夏目漱石
ころ》よくないものだ。わが不平が通じたのか、通じないのか、本当に気の毒がるのか、
御世辞《おせじ》に気の毒がるのか分らない。高柳君はビステキの赤さ加減を眺《なが》....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
ころが下女の方では、またそれを聞くたびに不必要にふんだんな笑い方をした。本気とも
御世辞《おせじ》とも片のつかない笑い方だけれども、声帯に異状のあるような恐ろしい....
「新生」より 著者:島崎藤村
て違って来ましたよ――矢張《やっぱし》、親は親ですねえ」
こういう嫂の言葉は、
御世辞にしても岸本には嬉しかった。
何よりも先《ま》ず岸本の願いは自分ながら驚....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
よ/\元気がよくなりました。相手も鳥渡踏めるような御面相の女で、頻りにちやほやと
御世辞をいう。それに釣り込まれて飲んでいるうちに、大次郎もよほど酔がまわって来ま....
「家」より 著者:島崎藤村
どれ程稲垣は娘が可愛いか知れない」と宗蔵は稲垣の出て行った後で言った。「あの男の
御世辞と来たら、堪えられないようなことを言うが……しかし、正直な男サ」 宗蔵と....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
やって、鬼どもの鞭に打たれたことを、怨む気色さえも見せないのです。大金持になれば
御世辞を言い、貧乏人になれば口も利かない世間の人たちに比べると、何という有難い志....
「金の十字架の呪い」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
人であった。彼は、アメリカ人風に、面と向って不意にあびせかけられた真面目な真実の
御世辞をいかにするかという事については普通な国民性の頼りなさの凡てを持っていた。....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
て、駈け寄ってきた。
「お疲れ様で」
とか
「先刻のお方様で」
とか、という
御世辞を聞き流して、奥まった部屋へ入った。
表の人声と、ざわめきとは、未だ止ま....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
政「流石に職業とはいいながら、這入りながらお世辞は恐れ入りました」 正「いえ全く
御世辞じゃアないので、真から湧出したのでげす、ちょいと彼の箱の中に在る目貫を一つ....
「それから」より 著者:夏目漱石
「ありゃ何だい」 「婆さんさ。雇ったんだ。飯を食わなくっちゃならないから」 「
御世辞が好《い》いね」 代助は赤い唇の両端を、少し弓なりに下の方へ彎《ま》げて....