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御多分
「御多分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
御多分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
「つぼ半」ってのは、堂々と店は構えているんですが、近頃不景気のあおりを喰らって、
御多分に洩れずあんまり大して流行らないってんです。しかしところがそれにもかかわら....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
もないので、頬冠して川堤を大阪までてく/\歩いたものだ。伯父の血をひいた余とても
御多分に洩れぬ。八年前の秋、此万碧楼に泊った余は、霜枯時の客で過分の扱いを受け、....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
なり黒なり背広で靴は、まったく大袈裟だけれど、狸が土舟という体がある。 秦氏も
御多分に漏れず――もっとも色が白くて鼻筋の通った処はむしろ兎の部に属してはいるが....
「露肆」より 著者:泉鏡花
昨夜よりはちっと増ですよ。」 「また私どもと来た日にゃ、お話になりません。」 「
御多分には漏れませんな。」 「もう休もうかと思いますがね、それでも出つけますとね....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
、ただその鼻筋の通った横顔を見たばかり……乳の辺に血が染んだ、――この方とても、
御多分には漏れぬ、応挙が描いた七難の図にある通り。まだ口も利けない処を、別々に運....
「淪落の青春」より 著者:坂口安吾
い邪魔がっているのである。 異母妹は衣子と云った。五ツ違いであるが、これが又、
御多分にもれず当家のヤッカイ者の一人なのである。 十九のとき結婚した。男は土豪....
「恋愛論」より 著者:坂口安吾
孫も変りがないから、文句はいらぬ。しかし、これほど恋しあう御両人も、二三年後には
御多分にもれず、つかみあいの喧嘩もやるし、別の面影を胸に宿したりするのである。何....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
ようという時、誰でも一度はきっとその故郷の物産を取り寄せて店におくことを考える。
御多分に洩れず私も中村屋のはじめ、信州の杏の甘露煮缶詰をたくさんに仕入れ、これを....
「イオーヌィチ」より 著者:神西清
会医になりたてのほやほやで、S市から二里あまりのヂャリージへ移って来ると、やはり
御多分に漏れず、いやしくも有識の士たる以上はぜひともトゥールキン一家と交際を結ば....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
である。昔ながらの古い町の姿である。 この古い町にもパチンコ屋ができた。そして
御多分にもれず、山里のアンチャンが集まってきて、朝っぱらから夜おそくまでワキ目も....
「神経」より 著者:織田作之助
ているのであろう。しかしこれはただ声の芸術だけではない。美術、舞踊、文学、すべて
御多分に洩れず、それぞれの紋切型があり、この型を逸れることはむつかしいのである。....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
いわけではないが、貴様もやはり哀れむべき凡人の仲間の一人であったか、と思ってね。
御多分に洩れず、貴様もあんなあなに操られている組だ……。 小野 (いよいよ不気味....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
た翌年、祖母と二人、その日の糧にも困んでいた折から。 何、ところが、大学生も、
御多分に洩れず、窮迫していて、暑中休暇は、いい間の体裁。東京の下宿に居るより、故....
「蝦蟇を食べた話」より 著者:北大路魯山人
った。一体中国料理というやつは、いずれも大袈裟で量の多いものであるが、このときも
御多分に洩れなかった。いくら美味くても、こんなには食えまいと思ったが、いざ食って....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
「あの男は稼げさえすればどこへだって行くんだ。」 「と、君も慶ちゃんもか?」 「
御多分にはもれねえ。」 「そんなことをいったら、君。――それじゃァ、君、由良一座....