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御婆
「御婆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
御婆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
がら、
「さあ、もうあちらへ行きましょう。麻利耶様は難有《ありがた》い事に、この
御婆さんのお祈りを御聞き入れになって下すったからね。」
と、何度も繰り返して云っ....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
が開《あ》いて、玄関へ顔を出したのは、ミスラ君の世話をしている、背の低い日本人の
御婆さんです。
「ミスラ君は御出でですか。」
「いらっしゃいます。先ほどからあな....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
それは長い間でしたら、どうにかならない事もございますまいが、明後日の夜はまた家の
御婆さんが、神を下すと云って居りましたもの。もしその時私がふとした事でも申しまし....
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
駆《か》って斎場《さいじょう》へ駈《か》けつける。死んだ人のうちには、御爺さんも
御婆さんもあるが、時には私よりも年歯《とし》が若くって、平生からその健康を誇って....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
いくつなんです」 「クレオパトラは三十ばかりでしょう」 「それじゃ私に似てだいぶ
御婆《おばあ》さんね」 女は首を傾けてホホと笑った。男は怪しき靨《えくぼ》のな....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
あいだ》に、骨上《こつあげ》の連中が二三組見えた。最初のは田舎染《いなかじ》みた
御婆さんだけで、これは御仙と千代子の服装に対して遠慮でもしたらしく口数を多く利《....
「草枕」より 著者:夏目漱石
へ焼き付いてしまった。茶店の婆さんの顔はこの写真に血を通わしたほど似ている。 「
御婆さん、ここをちょっと借りたよ」 「はい、これは、いっこう存じませんで」 「だ....
「倫敦消息」より 著者:夏目漱石
からたまらない。滔々《とうとう》と神徳を述べ立てた。まことに品の善い、しとやかな
御婆さんだ。しかる処 evolution と云う字を御承知ですかと聞かれた。「世....
「道草」より 著者:夏目漱石
子が一層《ひとしお》健三の眼についた。 「時に姉さんはいくつでしたかね」 「もう
御婆《おばあ》さんさ。取って一《いち》だもの御前さん」 姉は黄色い疎《まば》ら....
「門」より 著者:夏目漱石
を並べたかのごとくに、行きたい所まで同席して不意と下りてしまうだけであった。前の
御婆さんが八つぐらいになる孫娘の耳の所へ口を付けて何か云っているのを、傍《そば》....
「野分」より 著者:夏目漱石
出す。門口《かどぐち》へ出て空を仰ぐと、行く秋を重いものが上から囲んでいる。 「
御婆さん、
御婆さん」 はいと婆さんが雑巾《ぞうきん》を刺す手をやめて出て来る。....
「虚子君へ」より 著者:夏目漱石
ぬ光よし様とか何とかいうところで品《しな》をしていると、私の隣の枡《ます》にいた
御婆さんが誠実に泣いてたには感心しました。あのくらい単純な内容で泣ける人が今の世....
「農村」より 著者:宮本百合子
引きかえに餅をとりに行った。東京の鴨の様に臭がない。 お八つ頃、例の芝居ずきの
御婆さんを呼んでやる。結構だ結構だと云いながら、年に合わしては随分沢山たべて、こ....
「つぼみ」より 著者:宮本百合子
を渡したよう。帯が又きれぎれに人の形になった時には、白帆はもう見えずに汽船の煙が
御婆さんの帯の色をして棚引き御台場はすっかり青く、私の居るところにはうすいかげが....
「半日ある記」より 著者:寺田寅彦
士腕をまくって耶蘇教を攻撃するあり。曲書きのおじさん大黒天の耳を書く所。砂書きの
御婆さん「へー有難う、もうソチラの方は御済になりましたかなー、もうありませんかな....