御方便[語句情報] »
御方便
「御方便〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
御方便の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
送りに出た。別れ際《ぎわ》に、義雄は半分|独語《ひとりごと》のように、
「でも、
御方便なものだ」
こう言い捨てた言葉を残して言った。
百五
....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が》りは、いやに見識が高くって薬の利き目が薄いのは癪《しゃく》だが、それにしても
御方便に、おれの持場はみんな客種が上等で仕合せだ」 提灯《ちょうちん》を持って....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
て、叮嚀《ていねい》に襷《たすき》をとって半白の頭を下げる祖母ちゃんに向い、 「
御方便なもんですよ、ね、ふだんは出入りもしないどいて、金のいるときだけ役に立つの....
「海流」より 著者:宮本百合子
く発達した顔へ苦笑いで云った。 「嫂さんにあっちゃかなわない。しかし日本の法律は
御方便なもんでね。例えば財産についての告訴にしたって夫からは出来るが妻からは出来....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
きいてみたことがあった。 「おや、こんどは、あの家でも御迷惑じゃないと見えるね、
御方便だこと!」 そういってからすこしの間考えていたが、多計代は、 「おことわ....
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
の草の根を煎じてむしたくらいのことほか、出来はしなかったのだろうけれども、そこは
御方便なもので、余病も起さず、赤坊の軟い骨はどうにか納まって歩ける頃には、別に不....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
で、よくそんなことができますね」 「でも、近所の人様が可愛がって下さる上に、私は
御方便に勘《かん》がようございますから、世間並みの盲目《めくら》のように不自由な....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
晩中ぽかんと眼球をむいて居る苦しみったら無えや。何うしてくれようと思案の果てに、
御方便なもんで、思い出したのが今云った諺だ。「空の空なるかな総て空なり」「空なる....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
「はい、はい、いえ、御坊様の前で申しましては、お追従のようでござりますが、仏様は
御方便、難有いことでござります。こうやって愛想気もない婆々が許でも、お休み下さり....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
て茂之助に渡しました。 茂「有難う/\……さア、お定は少し泣いたよ」 くの「誠に
御方便なもので……布卷吉は何うやら一人学校へ参りますし、私はお定を寝かし付けて、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いですよ」 「いいえ、大丈夫でございます、眼はごらんの通り不自由でございますが、
御方便に、勘の方が働きますものでございますから」 「いや、何しても、無事でお前さ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なりません、本来ならばあの子は、この白骨へ骨を埋める人でございましたが、それでも
御方便に、助かるだけは助かりましたようでございます。お雪ちゃんは、当然ここで死な....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
徳と致しまして、上役人様も、お百姓方も、どなた様もお目こぼしをして下さいますから
御方便なものでございます、竹生島の弁財天へはかねての誓願でございまして、数えてみ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が落ちでございますが、不思議とこの兵助は餓鬼の時分から手癖が悪いくせに、こうして
御方便に四十の坂を越して、安穏《あんのん》に牢名主をつとめさせていただくというよ....
「本州における蝦夷の末路」より 著者:喜田貞吉
かえって地方人の厄介者になるという場合も少くありませんでした。ところでそこは所謂
御方便なものでありまして、この社会の混乱時代に際しては、所謂適材を適所に用い、彼....