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微か
「微か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
ことは……清逸は何んといっても微《かす》かな未練を感じた。そして未練というものは
微かであっても堪えがたいほどに苦《にが》い……。清逸はふとこの間読み終ったレ・ミ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
だ。彼の脚は道徳の世界ならざる世界を踏んでいるのだ。それは私に本能的生活の面影を
微かながら髣髴させる。 黒雲を劈いて天の一角から一角に流れて行く電光の姿はまた....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
ではなしに、屋根の雪が溶けて落ちるような気勢である。 ばちゃん、……ちゃぶりと
微かに湯が動く。とまた得ならず艶な、しかし冷たい、そして、におやかな、霧に白粉を....
「階段」より 著者:海野十三
の読書机に凭れて鼻の先にねじれ昇る階段を見上げていた。すると二階でコトンコトンと
微かに音がする。神経過敏になっている僕は、或ることを連想してハッと思った。何をや....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
ません」 「そうは思わないね。まず心臓の件だが、あれは始め診察したとき心臓のまだ
微かに動いているのを聴きおとしたのだ。第二に、竹蜻蛉のように廻ることは、舞踊でも....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
三号はどうしているのか、なかなか出てこない。 そのうちに、違った音色の無電が、
微かな応答信号をうちはじめた。 「ホ潜十三、ホ潜十三、……」 戦艦武蔵が呼んで....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
ちなんです。私を仰向けにして、横合から胸をはだけて、……まだ袷、お雪さんの肌には
微かに紅の気のちらついた、春の末でした。目をはずすまいとするから、弱腰を捻って、....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
依然として続いていた。不気味な紫の瑠璃色の拳も依然として動かなかった。やがて彼は
微かに動き出したので、一同は救われたようにほっとした。彼は眼をあげて、疲労と恐怖....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
亘って話たるものを淺野和三郎先生が筆記したのである。但し『T夫人の意識は奥の方に
微かに残っている』から私の愚見に因れば多少の Fiction は或はあり得ぬとは....
「初雪」より 著者:秋田滋
がひとり出て来た。ちょっと立ちどまって散歩をしている人たちを眺めていたが、やがて
微かな笑みを洩すと、いかにも大儀そうに、海のほうに向けて据えてある空いたベンチの....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
「は、」 と載せたまま白紙を。 「お持ちなさいまし。」 あなたの手で、スッと
微かな、……二つに折れた半紙の音。 「は、は。」 と額に押頂くと、得ならず艶な....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
あった。周囲を杉の皮で張って泥絵具で枝を描き、畳の隅に三日月形の穴を開け、下から
微かに光線を取って昼なお暗き大森林を偲ばしめる趣向で、これを天狗部屋と称していた....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
いる。その霧に、そろそろ近くなって来る朝の灰色の光が雑って来る。寒い。体じゅうが
微かに顫える。目がいらいらする。無理に早く起された人の常として、ひどい不幸を抱い....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
船頭は、悄然として再び、『お気の毒でしたね。』と慰む。伏したる漁史の口よりは、
微かに、『どうも、お前にも気の毒で。』 船『なアに、私などに、其様な御遠慮はいり....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
わる道義心によって成立する。朝鮮、満州国、支那に於ける日本の困難は皆この道義心|
微かなる結果である。軍隊が正しき理解の下に私的制裁を消滅せしむる事は日本民族昭和....