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微光
「微光〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微光の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
の建物の片側だけが、わずかに照り映えて、その裏側のほうからまったくの闇が、静かに
微光の領域を狭めてゆく。しかし、滝人が家近くまで来ると、どこからとなく、肉の焦げ....
「俘囚」より 著者:海野十三
とがハッキリあたしに判る日がやって来た。 それから十日も経った或る日、もう暁の
微光《びこう》が、窓からさしこんで来ようという夜明け頃だった。警官を交《まじ》え....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
しい叫び声……。 「アッ、あすこに誰かいますわ」 すると、はるか向うの光苔の
微光のなかに、一人の、葉か衣か分らぬボロボロのものを身につけた、瘠せこけた男が横....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
あった、 真空の中に介在する虚無の世界があった。 それでもその中の奥底には生命の
微光の耀いはあった。 動いていた最初のものは欲求であった、 それが生命の霊の最初....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
をすすめて呉れた。高い天井には古風なシャンデリアが点いていたが窓外にはまだ黄昏の
微光が漾っているせいか、なんとなく弱々しい暗さを持った大広間だった。段々と気持も....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
の花のように艶やかに響くこの歌詞ではあったけれど、ここは場所が場所だった。黄昏の
微光にサラサラと笹の葉が鳴っている藪蔭である。青年はその背筋が氷のようにゾッと冷....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
」 それから数分の後―― 荒れ果てた廃港の、線路のある突堤埠頭の先端に、朝の
微光を背に受けて、凝然と立|竦んでいた私達の眼の前には、片腕の駅長の復讐を受けた....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
低くのしかかったむし暑い闇夜には、遠く水平線のあたりにジワジワと湧き出したような
微光を背にして夥しい禿山の起伏が黒々と果しもなく続くばかりでどこかこの世ならぬ地....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
も世の無常が感ぜられる。常住は、ただこの単純な四囲の事物の中に宿されていて風流の
微光で物を美化する精神に存している。 茶室はある個人的趣味に適するように建てら....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
むしるような言葉を、寝床のなかで座間は咆えたてていた。やがて夜があけた。雨が暁の
微光に油のように光りはじめてきた。 その翌夜、カークを書斎に呼びいれて、座間は....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
、帯をたよりに、命の板切のうえにとりつくことができた。 長い夜が、ようやく暁の
微光に白みそめた。風が出はじめて、海上に霧はうごき、波はようやく高い。今夜あたり....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
うのが、人である。そうしてついに、左枝は闘いを放棄した。 翌朝、雨上りの最初の
微光が、この悲壮な敗戦者の顔に注がれた。ほの白い、たゆとうような曙を前にして、左....
「火の扉」より 著者:岸田国士
に北に走つていた。 断がいの上から、はるかに水平線がみえはじめる。それは一条の
微光にすぎなかつたけれども、しだいに空と海との鮮明な境界となり、空には金色の雲が....
「健康三題」より 著者:岡本かの子
へ下りて行った。 浴槽は汲み換えられて新しい湯の中は爪の先まで蒼み透った。暁の
微光が窓|硝子を通してシャンデリヤの光とたがい違いの紋様を湯の波に燦めかせる。ラ....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
。佐太郎はこんなに強く光る初世の眼を初めて見た気がした。遠くからのアセチレン燈の
微光が、初世のオリーブ色の金紗の着物を朝草のように青々と浮き立たせていた。 と....