微吟[語句情報] » 微吟

「微吟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

微吟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
べんせい》粛々《しゅくしゅく》夜《よる》河《かわ》を渡る」なぞと、古臭い詩の句を微吟《びぎん》したりした。 所が横町《よこちょう》を一つ曲ると、突然お蓮は慴《....
富士」より 著者:岡本かの子
《さぎり》に将起《たゝん》ぞ 翁は身体を撫でながら愛に絶えないような声調で、微吟した。 山又山の峯の重なりを望むときの翁は、何となく焦慮を感じた。対象する....
一夜」より 著者:夏目漱石
「美くしき多くの人の、美くしき多くの夢を……」と髯《ひげ》ある人が二たび三たび微吟《びぎん》して、あとは思案の体《てい》である。灯《ひ》に写る床柱《とこばしら....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
かわせよ。――流水心なく風また寒し。遙かに華街の灯りを望んでわが胸独り寥々……」微吟しながら行くうしろ影の淋しさ。主水之介またつねにわびしく寂しい男です。――だ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いでは大瀛《たいえい》の水となり 洋々八州をめぐる…… 案《つくえ》によって微吟し、そぞろに鬱懐《うっかい》をやるの体《てい》。 興に乗じて微吟が朗吟に変....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
白雪に 勿来の関は埋もれて 萩のうら葉もうら淋《さび》し 白雲はこういって、微吟しながら、その豪快なる胸臆のうちに、無限の哀愁を吸引し来《きた》ることにたえ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の人を照らしたりき 古人今人、流るる水の如く 共に明月を見て皆かくの如けん と微吟して、大きな柳の木蔭から、この北上川の沿岸の蒙蒼たる広原の夜気の中へ、のそり....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
刀を帯びた壮士である。前のが提灯を持って先導し、うしろのが、少しほろ酔い機嫌で、微吟をしながら歩いて来るのです。 こちらの三人と、ぱったり行会った途端、山崎譲....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
片を満鉄総裁|中村是公氏、宮内大臣秘書官森泰二郎氏に示している。漢詩人|森槐南が微吟する。 十月二十五日発|奉天赴長春汽車中作 万里平原南満洲 風光潤遠一天....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
るようなその力をどうすることも出来なかった。彼女はひどく嘆息して、そのうちに何か微吟して見ることを思いついた。ある謡曲の中の一くさりが胸に浮んで来ると、彼女は心....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ってやった。 彼は官邸へはいっても、公式の態度を取ろうとはしなかった。たかだか微吟をやめたばかりだった。なお楽想《がくそう》が踊りつづけていた。彼は玄関のテー....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
二十そこそこの若い身空でそう恬淡では困るじゃないか。どうやら君はここへ来る時詩を微吟していたらしいが、無慾の君のことだから、『|贈僧』という杜荀鶴の詩でも、暗誦....
剣侠」より 著者:国枝史郎
ら、樹木多く人家無く、これが江戸内かと疑われるほど、寂しい凄いお茶の水の境地を、微吟しながら歩いて行った。 遅く出た月が空にあったが、樹木が繁っているために、....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
覇の差別もなくなってしまった。どうともして本道へ返さなければならない」徳大寺卿は微吟をした。 忠怠於宦成、病加於小愈。禍生於懈惰、孝衰於妻子。 細い美しいそ....
魔都」より 著者:久生十蘭
くと、王様はやや広い暗道の苔の褥の上に、だらしなく大の字に寝っころがって、悠々と微吟をつづけていられる。この体たらくに、さすがの加十もムッとして、いきなりその傍....