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微温
「微温〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微温の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
身を横たえ、強く吹く北風を、積み重ねた枯草で避《よ》けながら、南の空をめぐる日の
微温《ぬる》き光に顔をさらして畑の横の林が風にざわつき煌《きらめ》き輝くのを眺む....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
くなってしまった。戸外に出ると、対岸の山頂が微かな光に染み、そこから夏の日特有の
微温《ぬく》もった曙《あけぼの》が押し拡がろうとしている。星は一つ一つ、東空から....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
自然への肉迫を表現した言葉だ。言葉の中にしみ渡ったこの力は、軽く対象を見て過ごす
微温な心の、まねにも生み出し得ない調子を持った言葉だ。 「だれも気もつかず注意も....
「親子」より 著者:有島武郎
男の口の裏は言っているように彼には感じられた。不快な冷水を浴びた彼は改めて不快な
微温湯を見舞われたのだ。それでも彼は能うかぎり小作人たちに対して心置きなく接して....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
Sketches 第二輯、一八七六年刊)。氷河のない富士山は破壊力においてすら
微温的であるから、時に雪なだれで森林を決壊し、薙ぎを作ることはあっても、現に今度....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
暗いあかりがともっている。 三十一日 今日は大変な天気だ。吾妻登山をするなら
微温湯にまで行かねばならぬ。とにかく昼までは暇なので孝ちゃんのお餅をむやみと食っ....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
と楊枝箱に真鍮の大きな金盥にお湯を汲って輪形の大きな嗽い茶碗、これも錦手か何かで
微温の頃合の湯を取り、焼塩が少し入れてあります。下女が持って参ります。是から楊枝....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
ように痛むので寝たのだと聞いて磯は別に怒りもせず驚きもせず自分で燈を点け、薬罐が
微温湯だから火鉢に炭を足し、水も汲みに行った。湯の沸騰るを待つ間は煙草をパクパク....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
て、くすしからんこそ佗しかりぬべけれ。」予はたおやかな原文の調が、いたずらに柔軟
微温の文体に移されず、かえってきびきびした遒勁の口語脈に変じたことを喜ぶ。この新....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
対する民衆的憤懣を持っていない事である。斯くして、彼等の議論は極めて曖昧である。
微温である。曖昧
微温な民衆側の議論は非民衆側の直截熱烈な議論を誘なわない。 甞....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
、湯は中央のあたりに、竹樋から滔々と落ちている。玉を溶かしたように美しいが、少し
微温いので、いつまでも漬っていなくてはならない。流し場もなければ桶一つない、あた....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の荷拵えに掛る。まず自分の着物の着方のぞんざいになって居るのを直します。その中に
微温湯になったところで直にその湯を飲んでまた乾葡萄の貰ったのを喰いまして、腹が出....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
りに、
気味の悪い物を煮交ぜたものだ。
大胆に言い寄る男性の「赤獅子」を、
鼎の
微温湯で女性の「百合」に逢わせる。
それから二人を武火に掛けて、
閨から閨へ追い....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
いっそう悪くならなかったともいい切れないのだ。――腹の方はずっと良好だ。ことに、
微温浴を二、三日つづけた後は一週間か十日ほどかなりよい。胃が強くなる薬をたまに摂....
「昆布とろ」より 著者:北大路魯山人
ぶしの煮だしをやや濃い目につくる。かつおぶし一合に醤油三勺ぐらい入れた味をつけ、
微温程度に冷ます(ただし刻み昆布一合煮だし二合ぐらい)。以上で材料は調ったわけで....