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微睡
「微睡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微睡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
方の叔父朝夫君に詳しく秀子嬢の身の上を語り終り、其の枕許で椅子に凭《よっ》たまま
微睡《まどろん》で居ると、何か異様な叫び声が微かに聞こえた様に思いましたが其の声....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
違なし」と呟き「罪なき者が何故に自ら白状したるや」と怪み、胸に此二個の疑団闘い、
微睡みもせず夜を明しぬ 読者よ、初めて此犯罪に疑いを容れたるは実に余なり、余が....
「闘争」より 著者:小酒井不木
が買物に出かけた後、ひそかにしのびこんで書斎へ行くと、北沢は椅子に腰かけて食後の
微睡をして居たので、これ幸いと、うしろにしのび寄り、自分のピストルで射殺し、たお....
「狂乱」より 著者:近松秋江
がら、やっと終い際の電車に乗って、上京の方の宿に戻って来た。 その夜はほとんど
微睡もせずに苦しみのうちに明かして、翌日は幸い気候も暖かであったので、ゆうべ一と....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
った。 滋くなって来た雨の音を聴きながら、心の穏やかでなかった庸三は、うとうと
微睡んだと思うと目がさめたりして、そこに侘しい一夜を過ごした。 翌朝床を離れた....
「爛」より 著者:徳田秋声
った。そして家へ帰ると、わけもなく独りで泣いていた。 四 とろとろと
微睡むかと思うと、お増はふと姦しい隣の婆さんの声に脅かされて目がさめた。お増は疲....
「恩人」より 著者:豊島与志雄
に疲れたようだ。」とそう云った叔父は、あの室で毛布にくるまり乍ら白日《まひる》の
微睡《まどろみ》をソファアの上に貪っているらしい、と彼は思った。その白い毛布の中....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
流れる水に暖い日の光りが吸い込まれてゆく。……何かが眼を見張っている、何かが静に
微睡《まどろ》んでいる。 自然のうちに何処かに穴があいてるように俺は感じた、そ....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
したその寂寥たる或物が、また引き入れるようにして彼の眼瞼を閉じさした。彼は全身|
微睡《まどろ》みながら、覚めかかった心をじっと、その或物へ集中した。じっとしてい....
「意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
有する富裕なロシアの貴族である。そして始終彼は、毛布のなかにもぐりこんで、微温と
微睡とのうちに時を過している。何かの行動に当面すると、「何のために?」という考え....
「オランウータン」より 著者:豊島与志雄
決定するのだ。 母が亡くなった時、そしてその死体を棺に納めた時、その夜、かりの
微睡の布団の中で、私は自分の身体を硬直させた。 呼吸の意識がなくなるくらいに、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
面目《まじめ》に信じていた。 彼のやや粗暴な大なる力は、対象がなく無為に陥って
微睡していた。その底には、ひそかな空虚があり、隠れたる「何になるものぞ」があった....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
惰とを交じえ多少不名誉を含む無為の状態ではなかった。夢に近い一時の忘却を思わする
微睡ではなかった。それは実に停止だったのである。
停止とは、不思議なほとんど矛....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
を整え寝に就いたのだった。 その夜は思いがけない蚊の襲撃に悩まされ、破れがちな
微睡の中に明けた。空はどんより曇っており、霧は昨日よりも低く岩壁の上に垂れ下がっ....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
ませんけれど、それでもなんだか狐につままれたような、心地です。頭の芯がトロトロと
微睡んでるような、それでいて好奇心が胸一杯にはびこって、眼が冴えてくるような、何....