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微細
「微細〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微細の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
な田川法学|博士《はかせ》の目じりの下がった顔と、その夫人のやせぎすな肩との描く
微細な感情の表現を、批評家のような心で鋭くながめやっていた。かなり広いプロメネー....
「星座」より 著者:有島武郎
く光る障子を背景にして、黒子《ほくろ》のように黒く点ぜられたその蝿は、六本の脚の
微細な動きかたまでも清逸の眼に射しこんだ。一番前の両脚と、一番後ろの両脚とをかた....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
寝入ってから健康そうに上気して、その間に形よく盛り上った小鼻は穏やかな呼吸と共に
微細に震えていた。「クララの光の髪、アグネスの光の眼」といわれた、無類な潤みを持....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の輪となったというのである。 しかし、これは物理学的に不可能である。冷却の際に
微細な塵の粒が析出すると、それはガスの中に浮游するであろう。ガスの冷却凝縮が進行....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
入念に法医学教室で解剖に付せられましたが、消化器と循環器との系統のものは、どんな
微細な点までも、剖検されたのです。 「お嬢さん、今度はすこし手応えがあったようで....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
る光に展きますると、森羅万象、人類をはじめ、動植物、鉱物、一切の元素が、一々ずつ
微細なる活字となって、しかも、各々五色の輝を放ち、名詞、代名詞、動詞、助動詞、主....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
か知らないが見たいものだよ。」 三十四 滝太郎はかつて勇美子に、
微細なるモウセンゴケの不思議な作用を発見した視力を誉えられて、そのどこで採獲たか....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
効果を収むべき描写は、屡、破綻を来しているようである。こう云う傾向の存する限り、
微細な効果の享楽家には如何なる彼の傑作と雖も、十分の満足を与えないであろう。 ....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
ま走っていたのであるから炭車の尻には複雑な気流が起り、いままで地面に沈積していた
微細な可燃性の炭塵は、当然烈しく捲き立てられていたのであった。全くそれはふとした....
「簡潔の美」より 著者:上村松園
れた馴致と洗練とがあらわれていると思います。 能楽は大まかですが、またこれほど
微細に入ったものはないと思います。 つまり、道具の調子と同じ似通ったものがあっ....
「縮図帖」より 著者:上村松園
あああの絵は……そうだ、あそこの大きい縮図帖のどの辺に閉じてあるはずだ、と実に
微細な点に至るまで明瞭に記憶されている。 縮図した絵の原図は、その縮図をひらい....
「迷信解」より 著者:井上円了
下の天草の海上に現るる不知火である。その原因につきては、夜中蛍のごとき光を発する
微細なる小虫が、無数に波上に集まりたるによると申すことじゃ。遠くこれを望むに、火....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
に、ぶるぶると顫え、ぴくぴくと引き附けているのである。その運動は目に見えない位に
微細である。しかし革紐が緊しく張っているのと、痙攣のように体が顫うのとを見れば、....
「鷺娘」より 著者:大倉燁子
ついても絶対にそんな事はないと云い張っています」 「竹村春枝という婦人はどうして
微細な関係を知っていたのだろう?」 「さあ」 「まゆみの芸を封じたなどとは想像と....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
鼻へ出かけて行く。其処の岩鼻は直下数百|尋の渓谷を瞰下する断崖の頂きで岩は一面に
微細な青苔に蔽われている。彼は青苔に草鞋をしっかと着け、軽々しく小便を洩らすこと....