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「徳利〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

徳利の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
将軍」より 著者:芥川竜之介
云われた。今度は赤垣源蔵《あかがきげんぞう》だったがね。何と云うのかな、あれは?徳利《とくり》の別れか?」 穂積中佐は微笑した眼に、広い野原を眺めまわした。も....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
六尺の床があって、婆娑羅大神《ばさらだいじん》と書いた軸の前へ、御鏡が一つ、御酒徳利が一対、それから赤青黄の紙を刻んだ、小さな幣束《へいそく》が三四本、恭しげに....
星座」より 著者:有島武郎
の心を暗くした。 貧しい気づまりな食卓を四人の親子は囲んだ。父の前には見なれた徳利と、塩辛《しおから》のはいった蓋物《ふたもの》とが据えられて、父は器用な手酌....
三つの宝」より 著者:芥川竜之介
やす欺されるとは、あの王子も大莫迦じゃないか? 第二の盗人 しっ! 壁に耳あり、徳利にも口だ。まあ、どこかへ行って一杯やろう。 三人の盗人は嘲笑いながら、王子と....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
というのに元気づいて、血気な村の若い者が、三人五人、夜食の惣菜ものの持寄り、一升徳利なんぞ提げて、お話|対手、夜伽はまだ穏な内、やがて、刃物切物、鉄砲持参、手覚....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
、あんたは東の方ですなあ。」 「そうさ、生は東だが、身上は北山さね。」と言う時、徳利の底を振って、垂々と猪口へしたむ。 「で、お前様、湊屋へ泊んなさろうと言うの....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
、鼠色の大入道、金銀張分けの大の眼を、行燈|見越に立はだかる、と縄からげの貧乏|徳利をぬいと突出す。 「丑満の鐘を待兼ねたやい。……わりゃ雪女。」 とドス声で....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
籠城の軍議一決。 そのつもりで、――千破矢の雨滴という用意は無い――水の手の燗徳利も宵からは傾けず。追加の雪の題が、一つ増しただけ互選のおくれた初夜過ぎに、は....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
雪にのめされながら、割合に元気なのは、帰宅早々婆さんを使いに、角店の四方から一升徳利を通帳という不思議な通力で取寄せたからで。……これさえあれば、むかしも今も、....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
を蔽いながら、密と再び覗くと斉しく、色が変って真蒼になった。 竹の皮散り、貧乏徳利の転った中に、小一按摩は、夫人に噛りついていたのである。 読む方は、筆者が....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
のは藪の中の大入道。……納所どころか、当山の大和尚。火鉢を引寄せ、脛の前へ、一升徳利を据えて、驚きましたなあ――茶碗酒です。 門内の広庭には、太神楽が、ほかに....
三枚続」より 著者:泉鏡花
しい掘井戸の水は自然の神薬、大概の病はこれを汲めばと謂い伝えて、折々は竹筒、瓶、徳利を持参で集るほどで。 先代の信用に当若先生の評判、午後からは病院に通勤する....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ね、険難な野郎でさ。」 「三|厘でもありさえすりゃ、中汲だろうが、焼酎だろうが、徳利の口へ杉箸を突込んで、ぐらぐら沸え立たせた、ピンと来て、脳天へ沁みます、その....
註文帳」より 著者:泉鏡花
というと研屋の五助、喚いて、むッくと弾ね起きる。炬燵の向うにころりとせ、貧乏徳利を枕にして寝そべっていた鏡研の作平、もやい蒲団を弾反されて寝惚声で、 「何じ....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
です。」 「難有い、うむそこで、分別も燗もつきそうだが、墓の前で、これは火燗だ。徳利を灰に突込むのさえ、三昧燗というものを、骨瓶の酒は何だろう、まだちっとも通ら....