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心ならず
「心ならず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心ならずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「註文帳」より 著者:泉鏡花
のないような、しかも情の籠った調子で、かえって慰めるように謂った。 お杉は心も
心ならず、憂慮しげに少年の状を瞻りながら、さすがにこの際|喙を容れかねていたので....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
、ぼくを追いまわして、ピストルで射つつもりなんだから……。ぼくは追いつめられて、
心ならずも乱暴をはたらいたというわけなんだ。おやじは物もいわずに、その場にたおれ....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
私は、はっと吾れに戻った。 「うん……もうすこしだ。頑張っていてくれ」 私は、
心ならずも嘘をつかねばならなかった。私は全身に熱い汗をかいた。ここですべてを諦め....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
29が約二百機近く来襲し、内地各地へ投弾。広島も初めて大空襲を受く。 ◯東京は、
心ならずも穏やかなり。
心ならずというのは、九州等来襲ひんぴんたる土地のわが同胞に....
「東京要塞」より 著者:海野十三
た主であり、警官に見て見ぬふりをさせ、皇国の興廃にかかることとはいえ、この吉治に
心ならずも傷害を与えた正木正太という左官こそ、とりもなおさず帆村探偵の仮称にちが....
「蠅男」より 著者:海野十三
られた女だったといえば、あとは誰にもそれと察しがつくであろう。彼はそんなことで、
心ならずもある期間は蠅男やお竜と行動を共にしていたのである。 それはその年も押....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
に、一刻も早く医師の手当をうけさせたいと思ったのである。 そのために、彼女は、
心ならずも、帆村のそばを車で通りすぎてしまったのだ。もっとも彼女は、運転台のター....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
云いながら、何んという有様。皆|是剣道の師の命令に叛き、女侠客の為に抑留されて、
心ならずも堕落していた身から出た錆。斯う成るのも自業自得と、悔悟の念が犇々と迫っ....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
ひとは、平常から邪険な、変った人でございますので、逆らわないに限ると思いまして、
心ならずもそのまま自室へ下って、先に寝んだのでございます……それが、もう今朝は、....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
ら辷り落ちた角のある石の片けが、土を見せない。急な下り道では、足は石車に乗って、
心ならずも数間を走らねばならぬ。人夫の背負うていた私の写生箱は、いつか細引の縛め....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
昼となく打ちましても、意にかなうほどのもの一つもなく、さらに打ち替え作り替えて、
心ならずも延引に延引をかさねましたる次第、なにとぞお察しくださりませ。 頼家 え....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
泳いで逃げようとしたところが、案外に水が増しているか、流れが早いか、それがために
心ならずも押し流されて、狂言が本当になってしまったというようなことがねえとも限ら....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、且は道楽者で身上《しんしょう》も悪いので、金田と張り合うだけの力はなく、お近は
心ならずも柳島の屋敷へ引き取られてしまったのである。しかも二人の縁は切れないで、....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
く追手のかかるマコンデとは反対に、いよいよ、|悪魔の尿溜へと近付く密林のなかへ、
心ならずも逃げこんで行くのだった。 密林はいよいよふかく暗くなって行った。大懶....
「書記官」より 著者:川上眉山
皿、それもよしかこれもよしか、光代、光代はどこにいる。光代光代、と呼び立てられて
心ならずも光代は前に出づれば、あの今日はな、と善平は競い立ちて、奥村様はじめ大事....