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心を奪う
「心を奪う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心を奪うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
濡《ぬ》れたとか、また蒸《む》し暑くて途中が難儀であったとかいう意識は講演の方が
心を奪うにつれて、だんだん不明暸《ふめいりょう》不確実になってくる。またこの講演....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
《ちりばめ》たる宝石が独《ひと》り幅を利《き》かす。金剛石《ダイアモンド》は人の
心を奪うが故《ゆえ》に人の心よりも高価である。泥海《ぬかるみ》に落つる星の影は、....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
益々不審に思う、叔父が怪美人をば昔の知人に似て居ると云うたのは誰にだろう、叔父の
心を奪うほども全体何人に似て居るだろう、是も怪美人の言い草では無いが分る時には自....
「海賊と遍路」より 著者:黒島伝治
さんいるのである。 約十年間郷里を離れていて、一昨年帰省してからも、やはり私の
心を奪うものは、人間と人間との関係である。郷里以外の地で見聞きし、接触した人と人....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
大群の実写は、あれは実に驚くべき傑作である。理屈なし説明なしに端的にすべての人の
心を奪う種類のフィルムであり、活動映画というものの独自な領域を鮮明に主張したもの....
「メールストロムの旋渦」より 著者:佐々木直次郎
うが、この光景の雄大さ、あるいは恐ろしさ――あるいは見る者の度胆を抜くこの奇観の
心を奪うような感じ――のちょっとした概念をも伝えることができない。私はこの著者が....
「子供のために書く母たち」より 著者:宮本百合子
して、科学的の正しさにおいても心配はない。花は花であるからこそいきいきとして目と
心を奪う花なのではないだろうか。お花といわれると私たちは仏さんのお花という連想が....
「死者の書」より 著者:折口信夫
思って、じっと目をつけて居た。見る見る、そうした新しい好尚のおもしろさが、家持の
心を奪うてしまった。 築土垣の処々に、きりあけた口があって、其に、門が出来て居た....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
うことを語るのに詩人は面白い角度からとらえているのよ。その女のひとは、余り自分の
心を奪うその美しいものを、思わず見入る自分の顔を、鏡に見られるのも羞しく感じると....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
とんどすべては、自分の教師に恋していた。教師が若くてさほど醜くなければ、彼女らの
心を奪うに十分だった。彼女らは先生からよく思われようとして、天使のようになって勉....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
に帰ってきたのである。
港のうちに現われる軍艦は、何かしら群集を引きつけ群集の
心を奪うものである。なぜなら、それは一種の偉大さをもっているものであるから、そし....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
認めていた。
特に一事をここに力説しておくが、祖父のあらゆる親切や慈愛も、彼の
心を奪うことは少しもできず、彼の心を和らげることはあまりできなかった。第一、彼は....
「墓」より 著者:秋田滋
ました。 彼女の一挙一動は、わたくしを恍惚とさせました。彼女の声は、わたくしの
心を奪うのでした。彼女のからだ全体が、それを見ているわたくしに、限りない悦びを催....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
に乏しく、今の政府はこれに富めり。古の政府は民の力を挫《くじ》き、今の政府はその
心を奪う。古の政府は民の外を犯し、今の政府はその内を制す。古の民は政府を視《み》....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
しく狡猾《こうかつ》にしようと力《つと》めても今だに一部の愚昧《ぐまい》なる民の
心を奪う事が出来ないのであった。路傍《ろぼう》の淫祠に祈願を籠《こ》め欠《か》け....