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心を打つ
「心を打つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心を打つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「島原心中」より 著者:菊池寛
廊下にかけ、一面に流れかかっているのでした。が、傷口を見ているときに、もっと僕の
心を打つものは、その荒み果てた顔でした。もう確かに三十近い細面の顔ですが、その土....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ろは先代吉左衛門に似て、膝の上に置いた手なぞの大きいことは、対坐するたびに勝重の
心を打つ。その日、半蔵はあいにく妻が本家の方へ手伝いに行っている留守の時であると....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
る大和、ことに京に還るのだから喜ばしい筈なのに、この御詞のあるのは、強く読む者の
心を打つのである。第三句に、「あらましを」といい、結句に、「あらなくに」とあるの....
「悪夢」より 著者:豊島与志雄
考えようとしたし、また確かにそうだと感じもしたが、それでも彼の言葉のうちで、私の
心を打つものが残っていた。私は贅沢な苦しみをしてるのではあるまいか、贅沢な興味か....
「帰京記」より 著者:豊島与志雄
っとも深い思い出である。その思い出が、十年後の今になっても、特殊の淡い哀愁で私の
心を打つ。....
「異邦人の意欲」より 著者:豊島与志雄
う思想が、抽象的になりすぎてる憾みがないでもないが、それらのものを超えて、吾々の
心を打つ何かがそこにある。また例えば、魯迅の「孤独者」に於てもそうである。その新....
「文学のふるさと」より 著者:坂口安吾
シャムシャ食べられているという残酷ないやらしいような風景ですが、然し、それが私の
心を打つ打ち方は、若干やりきれなくて切ないものではあるにしても、決して、不潔とか....
「勝負師」より 著者:織田作之助
香車のように貫いて来た、その修業の苦しさが子供の泣き声を聴くたびピシャリと坂田の
心を打つのではなかろうか。火のつくようにまじり気のない浄い純粋な泣き声は、まるで....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
どの歌もどの歌もみんな偽りのない魂がこもっている。歌よみ根性がないから、読む者の
心を打つのだ。心の底から詠いきっているから、こっちの心の底にもひびいて来るのだ。....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
にそんな馴馴しい口を利いている冴子を不愉快に思った。 「しかし、あの芝居には人の
心を打つものがない。真山青果の芝居は、とにかく人の
心を打つからね。モラルがある」....
「簡潔の美」より 著者:上村松園
なり、線の曲折、声曲から発する豪壮沈痛な諧律、こんなものが一緒になって、観る人の
心を打つのです。 その静かで幽かなうちに強い緊張みのある咽び顫うような微妙さを....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
恋人の手紙さえも失ってしまったことを恥じます。一つは病身で手がないのといろいろな
心を打つような出来事にたびたび遭遇してきたので、そういう尊い思い出であっても、直....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
、騒いでるんでございますよ」 「……へえ! フウン」 と頷きましたが、別段私の
心を打つ何ものでもありません。 「とても綺麗な、混血児のお嬢さんですとか……」 ....
「童話を書く時の心」より 著者:小川未明
真実というものが、いかに相手を真面目にさせるか、熱情というものが、いかに相手の
心を打つか、こうした時に分るものです、それであるから、語る人の態度は、自から聴く....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
かさとの度合を異にするだけのことだから。 まず、ベートーヴェンの音楽の中で私の
心を打つところのものは、こうである。―― 総じて音楽はその選ばれた人々の作品に....