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「心労〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心労の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
大地震のあった十月、いよいよ私はN家の本邸で結婚式を挙げる事になりました。連日の心労に憔悴《しょうすい》し切った私が、花婿《はなむこ》らしい紋服を着用して、いか....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
、とうとう前約を果し旁《かたがた》、彼と差向いになる機会を利用して、直接彼に私の心労を打ち明けようと思い立ったのです。 「と云うのはある日の事、私はやはり友人の....
忠義」より 著者:芥川竜之介
首にせい。」 宇左衛門は、半白の頭を傾けた。年よりもふけた、彼の顔は、この頃の心労で一層|皺《しわ》を増している。――林右衛門の企《くわだ》ては、彼も快くは思....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
早馬を以って都に伝えられた。 播磨守泰親は再び面目を施した。しかし重ねがさねの心労で、彼はその後|十日《とおか》ばかりは病いの床についた。その間のある夕に、千....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
すると、忠直卿の目の前に、病犬のように呆《ほう》けた与四郎の姿が現れた。数日来の心労に疲れたと見え、色が蒼ざめて、顔中にどことなく殺気が漂っている。そして、その....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
仕負けてよいものか。ははは……が、近松様も、この藤十郎を思わるればこそ、いかい御心労じゃ。 千寿 (言葉も女の如く)さようでござりますとも、こんどの狂言には、さ....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
した――その一筋の意識も、ほどなく滝人には感じられなくなってしまった。もはや何の心労もなく、望みもなく疼《うず》きもしない彼女には、額に触っている、冷たい手一つ....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
たものですから、お電話したんです」 「なんだか事情はよくのみこめませんが、君のご心労《しんろう》は深く察します。名津子さんは、どうですか。おたっしゃですか」 「....
不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
士は、貰ったハバナ産の太い葉巻を口に啣えて、うまそうに煙をたてる。 「金博士の御心労を謝する。で、そのホノルル号は、果して不沈軍艦であるかどうかということについ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
せんと、もっと以前にどうにもしたいのでございますッて。ほんとうにお爺様、貴老の御心労をお察し申して、母は蔭ながら泣いております。」 「ああ、勿体至極もござらん。....
九月四日」より 著者:岡本綺堂
気が多かったらしい。それには罹災後のよんどころない不摂生もあろう。罹災後の重なる心労もあろう。罹災者はいずれもその肉体上に、精神上に、多少の打撃を蒙らない者はな....
変身」より 著者:カフカフランツ
夫妻はだんだんと元気になっていく娘をながめながら、頬の色も蒼ざめたほどのあらゆる心労にもかかわらず、彼女が最近ではめっきりと美しくふくよかな娘になっていた、とい....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
件なしに承諾してしまった。そこでフランシスは、すくなくともその当座だけは、借財の心労から解放された。 一方でエセックスは、ベエコン推挙の手を女王に向かって緩め....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
な隙を鵜の目でさがしつつ、儕輩を押し仆して官位の競望に憂き身をやつした中流公家の心労からは、生れ出ることのない大慈悲心である。その証拠にはこうした歌は西行にも俊....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
しまいました。宮城野夫人は私の手を握っては、ひそかに感謝して居りました。長い間の心労で疲れきってしまい、健康を害している夫人は私という道づれが出来たのを幸いに、....