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「心当て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心当ての前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
邪魔しますぞ」と、女も扇を口にあてて軽く笑った。 「これは迷惑。われらには左様な心当ては少しもござらぬ。唯ここにさまよい暮らして、物いわぬ花のかげを眺めているば....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は一面の田地になっているので、昼でも蛙の声が乱れてきこえた。稲荷の近所というのを心当てに、二人は探しあるいていると、往来で酒屋の小僧に出逢った。 「おい、ここら....
道標」より 著者:宮本百合子
「まあいいや。どうせ、まだ十日もあるんだから……」 自分は交渉に出かけず、何か心当てでもありそうにいう素子の楽観を、伸子は背中をかたくしてきいた。伸子は、ホテ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
邸と言ったのはもとより出鱈目《でたらめ》ですけれども、うすうす心のうちでお銀様が心当てにして来たのは、それは役割の市五郎の家でした。 役割の市五郎を訪ねること....
雪の宿り」より 著者:神西清
んとした諦めのなかで、深く思いきったことでございました。さりながら、思えば人間の心当てほど儚いものもございません。わたくしがそのように念じ抜きました桃華文庫も、....
式部小路」より 著者:泉鏡花
いたものだッて、いうじゃありませんか。 何と驚いたものでがしょう。その袖の香を心当てに、谷中のくらがり坂の宵暗で、愛吉は定子(山の井夫人)を殺そう。お夏さんは....
警察署長」より 著者:田中貢太郎
た暴徒を四散せしめた。クラネクはベルセネフを伴れ、家族の者といっしょにチタの方を心当てに逃げて往った。それぞれ馬に乗ってその馬にはトランクに積め込んだ荷物を積ん....
山の人生」より 著者:柳田国男
翻訳ばかりで、国民のための研究者はいつになったら出てくるものか、今はまだすこしの心当てもない。それを待つ間の退屈を紛らすために、かねて集めてあった二三の実例を栞....