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心憎い
「心憎い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心憎いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ながら、だんだんこちらへやって来る笛の声に耳を傾けるのは、彼にとっても何となく、
心憎い気のするものであった。
その内に彼とその男とは、顔を合せるばかりに近くな....
「星座」より 著者:有島武郎
、こんなに病気にした。しかもそれは自然の知ったことじゃないんだ。自然というものは
心憎い姿を持っている」
清逸はどんどん流れてゆく河の水を見つめながらこんなこと....
「女の決闘」より 著者:太宰治
闘が開始されるのでありますが、それについて原作者 EULENBERG が、れいの
心憎いまでの怜悧《れいり》無情の心で次のように述べてあります。これを少し読者に読....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
酢だこは身の毒だとさ」 柳の葉かげをくぐって遠のいていく越後上布のうしろ姿が、
心憎い涼しさでした……。....
「癩」より 著者:島木健作
彼はいつも舌を捲《ま》いておどろいたのである。なんという精鋭な理論と、その理論の
心憎いまでの実践との融合であろう! 彼が肝胆を砕いて錬《ね》り上げ、もはや間然す....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
じように今夜の月に浮かれて出て、夜露にぬれながら吹き楽しむ者があるのか、さりとは
心憎いことであると、喜兵衛はぬき足をして芒叢のほとりに忍びよると、そこには破筵を....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
れる筈のない時に釣れる道理はござりませぬ」 「わははは。身共を横紙破りに致したは
心憎いことを申す奴よのう。眉間傷も曲っておるが、主水之介はつむじも少々左ねじじゃ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ら、わちきに酌なとさせておくんなまし……」 「わはは、そうか、そうか、団十郎め、
心憎い趣向をやりおった。女子がおると思えばおるような、いないと思えばいないような....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
たしるしの結納金じゃ。これで少し胸がすッと致したわい。だが、それにつけても――」
心憎いは今の二人です。 「目ざした先はまさしく東じゃ。今より急いで追わばどこぞの....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
に趺座して、下界|流転の消息は唯一片、洞門を閃めき過ぐる川水の影に見ると云う趣。
心憎い結構の寺である。
※駝師が剪裁の手を尽した小庭を通って、庫裡に行く。誰も....
「読書法」より 著者:戸坂潤
れているような予感がしたからである。処が読み始めるとスッカリ感心して了った。実に
心憎い程の切れ味を有った叙述なのである。巻を措く間も惜しく、読んで了ったものだ。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
見ていることは確かです。 そこで、さすがの七兵衛も固唾《かたず》を呑んで、その
心憎い同業者(?)の手並を見てやろうという気になりました。 見ているうちに、七....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
思った。 私らヤミ屋のガサツな新装にくらべて、古いけれども上品高価な衣裳の何と
心憎いことであったか。彼の来臨は光を放って社屋を圧倒するような落付いた余裕があっ....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
才人の強気しか見えない。更に又杯盤狼藉の間に、従容迫らない態度などは何とはなしに
心憎いものがある。いつも人生を薔薇色の光りに仄めかそうとする浪曼主義。その誘惑を....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
てくれ給え!」と念を押すようにして、ニッコリ笑うた、何という美しい青年であろう、
心憎いというのはこういう姿であろう。 どうしたものかその日千代子の学校の帰りは....