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「心柄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心柄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
親の目からは不憫が一層でな。あの通り温和《おとな》しかった民子は、自分の死ぬのは心柄とあきらめてか、ついぞ一度不足らしい風も見せなかったです。それやこれやを思い....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
にも入り死人とも為り、聞くも恐ろしい様な境涯にのみ入るのであろう、犯せる罪の為、心柄の為とは云う者の、斯くまで苦しき思いをすれば大抵の罪は亡ぶる筈だ、最う既に亡....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いなさるのかえ」 「左様でございます」 お元は三年越し世話をしているが、あまり心柄のよくない女で、たびたび無心がましいことを云う。現にゆうべもお元の家へ寄ると....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
りませんが、菊園の子供を誘い出させたのは、何かの企らみがあったに相違ありません。心柄とは云いながら、可哀そうなのは乳母のお福で、可愛い坊ちゃんを連れ出させたもの....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
兵衛は一と息ついた。 「まあ、そんな筋道なのだが、どうだろう、何とかなるめえか。心柄とは云いながら、本人はまず切腹、連れのものも御役御免か、謹慎申し付けられるか....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あとについて行った。内福と評判されている津の国屋のおかみさんの葬式があの姿とは、心柄とはいいながらあんまり哀れだと近所の者もささやきあっていた。世間に対して面目....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
していたらしいんです。勿論、お国という女も無事には済まない身の上で、こうなるのも心柄です。初めにお話し申した通り、弁天堂のお賽銭や仏具をぬすみ出そうとして菓子や....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
つ国の 雪降る街を歩むかあはれ。 一人巴里に置かれることが、むす子の願い、親の心柄であるとは云え、二十歳そこそこで親に別れ、ひと日暮れ果ててキャフェへさえ行か....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
私はまた唖ででもあろうかと思った、立派な若い人が気の毒な。」 「お前様ね、一ツは心柄でござりますよ。」 媼は、罪と報を、且つ悟り且つあきらめたようなものいい。....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
になって蠢くほどで、虫、獣も、今は恐れて、床、天井を損わない。 人間なりとて、心柄によっては無事では済まない。かねて禁断であるものを、色に盲いて血気な徒が、分....
梅若七兵衞」より 著者:三遊亭円朝
をよこして下すった番町の石川様にもお気の毒様で、食べるお米が無くっても、あなたは心柄で宜しゅうございましょうが、私は実に困ります」 七「困ったって、私は人の家へ....
源之助の一生」より 著者:岡本綺堂
。源之助は四、五年早かったがために、この規約に触れて大阪落の身となったのは、その心柄とはいいながら一種の不運でないとはいえなかった。大阪へ下ってからも、勿論相当....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
日アノ窓の側まで行くと、急に顔色が変ってパッタリ倒れたまま死んで了ったそうです。心柄とは云いながら誠にお気の毒な事で、それから後は愈よ其の奥様が若様を殺したに相....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
て、片手にて欄干へ捉まり、片手にて輪にしたる帯を首に巻き附け 「あゝ己の死ぬのは心柄だから仕方はねえけれども、己が此処で死んだという事を、羽根田にいる親父が聞い....
おけらになった話」より 著者:小川未明
うこともできる、すべての生き物の中でいちばん自由に生活される人間に生まれてきて、心柄から、みずから苦しまなければならぬ愚かしさを悟りました。彼の性質は、このとき....