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心痛
「心痛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心痛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
子の胸は呼吸もできないくらい引き締められた。それでも葉子は現在目前の歓楽をそんな
心痛で破らせまいとした。そしてそのためには倉地にあらん限りの媚《こ》びと親切とを....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
えつつ溜息をつく。暢気そうに、笑い顔している省作をつくづくと視つめて、老いの眼に
心痛の色が溢れるのである。やがてまた思いに堪えないふうに、 「お前はそんな暢気な....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
、父の戦友の名前を初めて口にしたのだった。 2 園長邸を訪ねた帆村は
心痛している夫人を慰め、遺留の上衣を丹念に調べてから何か手帖に書き止めると、外に....
「蠅」より 著者:海野十三
僚の参集を命じた。 「実に容易ならぬ密報をうけたのじゃ」と軍団長は青白い面に深い
心痛の溝を彫りこんで一同を見廻した。「白軍には駭くべき多数の新兵器が配布されてい....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
心を悼ましむ者が他にありましょうか」 「令夫人を相手に渡さなければ、あなた様のご
心痛もなくて済むわけでしょう」 黒眼鏡をかけたひどい猫背の探偵は事もなげに、こ....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
間の頭の上をとび越えて、わが陣営へ攻めこんでくるであろう。ふーむ、こんなにわしに
心痛をさせるあの油学士の奴は、憎んでもあまりある奴じゃ」 すると、うしろで、え....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
。山岸中尉は、帆村が何か考えこんでいるのを見てとって、そのじゃまをしないように、
心痛をしのんで黙っている。 「……速度計ハ零ヲ指シ、舵器マタキカズ、ソレニ続キ高....
「火薬船」より 著者:海野十三
動けるような身体じゃないのに、どうしたんだろう?」 桟橋 竹見は、大きな
心痛のため、気が遠くなりそうだった。 「このまま放っておいては、たいへんだ。よし....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
では病人死人はなはだ多いよし。ことに弱いからだの足下および病を抱く諸友人の身の上
心痛に堪えない。 まだ市ヶ谷にいた時、一日、堺と相語る機会を得て、数人の友人の....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
もこれはどこの母親も同じらしい。去年の春、子供が潁才教育の試験を受けたときなどは
心痛のあまり病人のようになつてしまつたのには驚いた。どうも母親の愛情は父親の愛と....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
の優しい、容色もなかなかいい女だった。 老人夫婦が代って自分たちの永い永い間の
心痛と苦労のかずかずを語りおわると、親子はもう一度抱き合った。その晩は、いつまで....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
くしてついのびのびと相成り、いつしか永き歳月をかさね、あまりにも恐れ多く、たえず
心痛をいたしておりました。 この二、三年来、非常に健康になりましたので、今年は....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
彼が、どんな風に誤解しないとも限らない。 それにもう一つ、陽子の胸を刺すような
心痛があった。それは他でもない、兄のことである。 春樹は風采も立派、学校の成積....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
美人薄命という言葉がぴったりくるね。唯一の希望である我が子は行方不明になる、その
心痛から病弱になり、生きて行く力を失ったと云って床に就く日が多かったというからそ....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
て憤慨しているんです、彼女の悪口を聞くのは決して厭な心持ちではありません、私は内
心痛快だったんです。ですから私は黙って見ていました。が、自分が盗み出したので、ま....