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心耳
「心耳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心耳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
どうか、それは彼自身にも、はっきりわからない。が、ヨセフは、「この呪《のろい》が
心耳《しんじ》にとどまって、いても立っても居られぬような気に」なったのであろう。....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
ません。こう云う所まで来て見ると聖書から嘗て得た感動は波の遠音のように絶えず私の
心耳を打って居ます。神学と伝説から切り放された救世の姿がおぼろながら私の心の中に....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
いったのです。ですからこの心眼を開けばこそ、私どもは、形のない形が見えるのです。
心耳をすませばこそ、声なき声が聞こえるのです。俳聖|芭蕉のいわゆる 「見るところ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
る事に於て村の悪太郎等に劣るまじい彼は、畑を流るゝ濁水の音|颯々として松風の如く
心耳一爽の快を先ず感じて、尻高々とからげ、下駄ばきでざぶ/\渡って見たりして、其....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
て行っても芭蕉と野坡の「音色」の著しいちがいはどこまでも截然《せつぜん》と読者の
心耳に響いて明瞭《めいりょう》に聞き分けられるであろう。同じように、たとえば「炭....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
それならばいっそ安房《あわ》の国へ渡って、再び清澄のお山に登る、そこで心静かに、
心耳《しんに》を澄ましてはどうかとおっしゃる、そのお言葉には、道理も、情愛もござ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《ちだい》を揺り動かして、かくて夜明けまでには本来の大地に、生身《しょうじん》の
心耳《しんに》をこすりつけて、幽冥の消息を聞くことが必ずしも不可能とは思われませ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の雨をきくことを楽しんだということだが、全く、静かな心境で、夜の雨が軒をめぐって
心耳《しんに》を潤す快味は得もいわれない。ところが、その夜更けの幾時かになると、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しいのではなく、目に見えない世界が騒がしいから、それで、なんにも知らぬ米友さんの
心耳《しんじ》をさわがしてしまうのです、どんな静かなところへ置いても、この心の騒....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
だ特殊の人だけが、それを聞くことができたのです。天才と修練とによって、透徹された
心耳《しんに》を有する人は、この宇宙のラジオを、アンテナも、レシーヴァーもなしに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
通の人の耳で聞き、普通の人の眼で見ては、何の気配《けはい》もないことも、この人の
心耳《しんに》にはありありと異常が感得せらるること、今に始まった例ではありません....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
敷まちには、炊《かし》ぎのけむりが鬱蒼《うっそう》たる樹立ちにからんで、しいんと
心耳《しんじ》に冴えわたるしずけさがこめていた。
たださえ、人をこころの故郷《....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
うな戦慄《せんりつ》を注ぎ込む。何やら得体の知れぬ力に押えつけられてただしいんと
心耳に冴え返るばかりだ。百万千万の視線が、眼に見えぬ槍ぶすまとなって、前後左右と....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
たが、その音色は尺八よりは一|際静かで、殊に名人の吹くこと故に、心ないお百姓まで
心耳を澄まして自ら頭を下げて聞くことになりますると、夕霞は深く立って、とんと景色....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
の親しさが胸の奥から湧いて、それがあたりの空気と溶け合って懐しい声――山の囁きが
心耳に聞えるようだ、暗い不安の影は幻のように消えて跡もない。山稜はいつか草と偃松....