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「心覚え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心覚えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
上って総身《そうしん》を震いながらこの大枝の下を一散にかけぬけて、走りながらまず心覚えの奴だけは夢中《むちゅう》でもぎ取った。 何にしても恐しい今の枝には蛭が....
薬草取」より 著者:泉鏡花
何となく謹みませんとなりませんばかりなのでございます。そして貴方は、美女ヶ原にお心覚えの草があって、其処までお越し遊ばすに、二日も三日もお懸りなさらねばなりませ....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
に、僧形の墨の法衣、灰色になって、蹲るか、と視れば欄干に胡坐掻いて唄う。 橋は心覚えのある石橋の巌組である。気が着けば、あの、かくれ滝の音は遠くどうどうと鳴っ....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
出る、この片隅に二枚つづきの硝子を嵌めた板戸があって、青い幕が垂れている。晩方の心覚えには、すぐその向うが、おなじ、ここよりは広い露台で、座敷の障子が二三枚|覗....
古狢」より 著者:泉鏡花
思っておくれ。」 「可厭あね。」 「止むを得ないよ。……実際なんだから。晩に見た心覚えでは、この間に、板戸があって、一枚開いていたように思ったんだが、それが影も....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
たことがございましょうか。」 「小児の時に、亡くなった母親が唄いましたことを、物心覚えた最後の記憶に留めただけで、どういうのか、その文句を忘れたんです。 年を....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
われに笑顔向けたまうは、うつくしき姉上なり。 朝な夕な、琴弾きたまうが、われ物心覚えてより一日も断ゆることなかりしに、わが母みまかりたまいし日よりふと止みぬ。....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
のをこの隠れ家で聞いたるごとく、自分の居処を安堵せんと欲して、立花は手を伸べて、心覚えの隔ての襖に触れて試た。 人の妻と、かかる術して忍び合うには、疾く我がた....
黒百合」より 著者:泉鏡花
い。ここぞという極めが着いた処で、印を付けておくんじゃ。私も初手の内は二軒三軒と心覚えにしておいたが、蛇の道は蛇じゃ、段々その術に長ずるに従うて、蔓を手繰るよう....
星女郎」より 著者:泉鏡花
われたせいか、峠の裾が、ずらりと引いて、風にひだ打つ道の高低、畝々と畝った処が、心覚えより早や目前に近い。 が、そこまでは並木の下を、例に因って、畷の松が高く....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
わうべきものがしばしばある。小文吾が荒猪を踏み殺したは鳥越であるが、鳥越は私が物心覚えてからかなり人家の密集した町である。徳川以前、足利の末辺にもせよ、近くに山....
座右第一品」より 著者:上村松園
図も写生も一緒くたでございます。素より他人に見せる積りの物ではなく、唯自分一人の心覚えのためですし勉強のためでありますから、辺文進の花鳥の側に二歳か三歳の松篁が....
雪柳」より 著者:泉鏡花
間だ。見れば川幅も広くなり、鉄橋にかわって、上の寺の樹蔭も浅い。坂を上った右手に心覚えの古樫も枝が透いた。踞んで休むのは身は楽だけれども、憩うにも、人を待つにも....
土田さんの芸術」より 著者:上村松園
催しだった。いい図柄や色気のものがたんとあって、つい懐ろの写生帖を取り出しては、心覚えに縮図させられる気にさえなった程だった。 だんだん見物して行くと、あちら....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
など思い出される。第二日の研究は私の「戦争史大観」であり、その説明のための要旨を心覚えに書いてあったのが「戦争史大観」の第一版である。第三日は吟爾賓に移り研究を....