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心象
「心象〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心象の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
なさ、謂《い》わば私のゴルゴタ、訳《と》けば髑髏《されこうべ》、ああ、この荒涼の
心象風景への明確なる認定が言わせた老いの繰りごと。れいの、「いのち」の、もてあそ....
「Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
かもしれませんね。 私があなたのお手紙で、K君の溺死を読んだとき、最も先に私の
心象に浮かんだのは、あの最初の夜の、奇異なK君の後姿でした。そして私はすぐ、 「....
「桜の樹の下には」より 著者:梶井基次郎
ら》も、白い日光をさ青に煙らせている木の若芽も、ただそれだけでは、もうろうとした
心象に過ぎない。俺には惨劇が必要なんだ。その平衡があって、はじめて俺の
心象は明確....
「惰眠洞妄語」より 著者:辻潤
真空溶媒(Eine Phantasie im Morgen)凡ゆる場合に詩人の
心象はスケッチされる。万物交流の複合体は、すでに早くもその組立や質を変じて、それ....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
より選び信じ懐かしんで呉れた自分が、鎌倉時代よりもずっと明るく寛闊に健康になった
心象の幾分かを氏に投じ得たなら、あるいは生前の氏の運命の左右に幾分か役立ち、ある....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
はひざまずいて世俗的な疑惑の前に降伏し、それがためにベアトリーチェに対する純潔な
心象をけがした。彼女を見限ったというのではないが、彼は信じられなくなったのである....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
待を裏切って、虫は死んでしまった。それにもかかわらず、美しい五彩の簑を纏うた虫の
心象だけは今も頭の中に呼び出す事が出来る。ところが、つい近頃私の子供等がやはり祖....
「偶像に就ての雑感」より 著者:豊島与志雄
に或は両方を総括した広い意味に用いる。) 偶像は吾人の感情の、心の働きの、或は
心象の、象徴化されたものである。それはぴたりと吾人の魂に触れる。そしてその生命は....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
り残っていたのかも知れない。ローソクで営業していたOKはその現代風に変形した同じ
心象風景であったろう。 私は声楽家の山本篤子さんに依頼して、大阪の戦後派の(悪....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
瞳、口もとに言いようのない一種の愛嬌をたたえて大槻に会釈した時のあでやかさ、その
心象がありありと眼に映って私は恐ろしい底ひしられぬ嫉妬の谷に陥った。 「藤岡! ....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
へ向けながら沁々云った。 「あの山吹の色が、ほんとうに正直に黄いろの花に今の僕の
心象には映るのです。僕の心が真に対象を素直にうけ入れられるようになったのですね。....
「妖怪学」より 著者:井上円了
をみるに、妖怪研究は万有普遍の規則にもとづき、内外両界の関係を究め、物象の実体、
心象の本源にさかのぼり、妖怪の真相を開現するにほかならざるなり。 以上、総論を....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
き、耳官はその用をなしおるも、他の諸機関はすべて熟睡のありさまにてあれば、ここに
心象は意志の管束もなければ、火事の声をかすかに聞くと同時に、この男が旧縁の家(そ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
並に順調だったし、結婚から子供までも産んで居る。そしてもし、人があくまで私のこの
心象がその種のものであるとするなら、その人はその次を読んだ私の態度をどう解釈して....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
する活きた眼を備えることによって、はじめて得られるものでありましょう。 さんげは
心象上の生理作用です。 人間の体の皮膚に老廃物が溜れば 一つ一つの毛孔がふさがり....