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「心遣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心遣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
良夜」より 著者:饗庭篁村
ごろには言わるるよと心付きて恥かしく、人の来るを見れば歩きてその疑いを避くるこの心遣い出来てより、涼しさ元のごとくならず。されどこの清風明月の間にしばらくなりと....
狂人日記」より 著者:秋田滋
みたいという慾望が、アルコールのように私を酔わせた。私は子供が逃げないようにとの心遣いから、そーッと子供に近寄って行った。傍へ行くと、やにわに子供の喉首をつかん....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
身を削るようなもの、新しい住居に移ってから一|年とも経たない中に、私はせめてもの心遣りなる、あのお墓参りさえもできないまでに、よくよく憔悴けて了いました。一と口....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
吻と吹く酒の香を、横|状に反らしたのは、目前に歴々とするお京の向合った面影に、心遣いをしたのである。 杯を持直して、 「別れだといいました。糸七も潔く受けま....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ちょうど私たちの真向うの席に就いた。まさに嫁がんとする娘の、嬉しさと、恥らいと、心遣と、恐怖と、笑と、涙とは、そのまま膝に手を重ねて、つむりを重たげに、ただ肩を....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
ったげな。 侍女等親しげに皆その前後に斉眉き寄る。 性急な私だ。――女を待つ間の心遣にしたい。誰か、あの国の歌を知っておらんか。 侍女三 存じております。浪花津....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
程耳が疎いらしい。……あるいはそんな事で、世捨人同様に、――俳諧はそのせめてもの心遣りだったのかも知れません。勿論、独身らしいのです。寸人豆馬と言いますが、豆ほ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
ような身を緊めた爪先の塗駒下駄。 まさに嫁がんとする娘の、嬉しさと、恥らいと、心遣いと、恐怖と、涙と、笑とは、ただその深く差俯向いて、眉も目も、房々した前髪に....
高野聖」より 著者:泉鏡花
はおんなじで聞いたにも見たのにも変《かわり》はない、旧道はこちらに相違はないから心遣《こころや》りにも何にもならず、もとより歴《れっき》とした図面というて、描《....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
せいでもの事なれども、朝、昼、晩、日のあるうちは、令嬢のお目に留って、易からぬお心遣い、お見舞を受けまする。かつは親御様の前、別して御尊父に忍んで遊ばす姫御前の....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
「分ったよ。」 「可ござんすか。」 「煩い。」と心にもなく、車夫の手前、宵から心遣いに疲れ果てて、ぐったりして、夏の雨も寒いまでに身体もぞくぞくする癇癪まぎれ....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
お百合さんか、何をしているのだろうね。 姥 恋人の晃の留守に、人形を抱きまして、心遣りに、子守唄をうたいまする。 白雪 恋しい人と分れている時は、うたを唄えば紛....
「別居」について」より 著者:伊藤野枝
の日からすべての事に何の未練も残さずにすみました。永い間私を苦しめた功利的な醜い心遣いもなくなりました。私は今、何の後悔も持たないでいられることを非常に心持よく....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
傾けようとしない。だいたい彼に対して僕は大いに不満だ。こんなふうな病気に対しては心遣いや親切な辛抱強さが足りな過ぎる。もし僕の方から診察を受けに出かけないとすれ....
中支遊記」より 著者:上村松園
と、細かい注意をして下さるのであった。これは常々兵隊の身を案じ続けていられる心遣いが私のような者の上にも泌みでるように出たお言葉であろうと胸に響くものがあっ....