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忍ばせる
「忍ばせる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忍ばせるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
ろう、仮令《よし》あってもそれが墳墓であったことを、姉小路卿なる国司の在りし世を
忍ばせる石であったことを、誰が知ろう、月の世界に空気なく、日本アルプスに人間もな....
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
のである。 古賀はにやりにやり笑って僕のする事を見ていたが、貞丈雑記を机の下に
忍ばせるのを見て、こう云った。 「それは何の本だ」 「貞丈雑記だ」 「何が書いて....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
ままにしていてくれ」 そして、正勝は蔦代の死体をその後ろから抱き支えて、足音を
忍ばせるように小刻みに足を運ばせながら右手の短刀を振りかざして、紀久子のベッドへ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を追ってゆくと、女はそんなことには気が付かないらしく、これも夜露を踏む草履の音を
忍ばせるように、俯向き勝ちに辿って行った。月が明るいので見失う虞《おそ》れはない....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
る。根岸といえば鶯の名所のようにも思われ、いわゆる「同じ垣根の幾曲り」の別荘地を
忍ばせるのであるが、根岸が風雅の里として栄えたのは、文化文政時代から天保初年が尤....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、又来たよ、おれはちょいと奥を貸して貰うぜ」 半七は障子をあけて小屋の奥に身を
忍ばせると、やがてお光が帰って来た。それを待ち受けていた幸次郎は声をかけた。 「....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
のならば、大いに警戒しなければならないと云うので、さらに甚五郎らを近所の植木屋に
忍ばせると、その翌日、あたかも半七がたずねて来たのである。こんにちと違って、その....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
にも思われた。この老人を嚇すというほどの悪意でもなかったが、わたしは幾らか足音を
忍ばせるように近寄って、老人のうしろから不意に声をかけた。 「お早うございます」....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
りゃ、浜川が、あぶない!
若し、広海屋に、すぐにあばれ込むつもりであれば、身を
忍ばせる必要はないであろう。待ちかまえて、何かするつもりに相違なかった。
彼は....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
英国にも杓子貝を紋とする貴族二十五家まであるは、昔カンポステラ巡礼の盛大なりしを
忍ばせる。 昔この尊者の遺体を、大理石作りの船でエルサレムよりスペインへ渡す。....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
込み楽しんで居りました。お國は人目を憚り庭口の開き戸を明け置き、此処より源次郎を
忍ばせる趣向で、殿様のお泊番の時には此処から忍んで来るのだが、奥向きの切盛は万事....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
なかなか広い店で、巾の広い牀几《しょうぎ》が沢山並んでいた。涼しげな、大きな滝を
忍ばせる硝子《ガラス》の簾《すだれ》――聯《れん》がさがって提灯《ちょうちん》や....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
りながら、精一ぱいの声を出して泣き出した。 校門までくると、そこにはお浜が身を
忍ばせるようにして、彼を待っていた。彼はもう一度大声をあげて泣きながら彼女に飛び....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
わてて涙をふいた。そして俊三といっしょに茶の間の方に行きかけると、恭一が、足音を
忍ばせるようにして、二階からおりて来た。彼は、俊三の方に気をくばりながら、 「次....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
りに凝って、尖った屋根飾りや軒飾りなども単純で、いかにもまた雪の深い樺太の情趣を
忍ばせるものであった。 蹄鉄、長柄の鎌、フオク、斧、鉈の類がその土間には放り出....