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忍び寄る
「忍び寄る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忍び寄るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
案した後《のち》、たとい危《あぶな》い芸当にしても、とにかくもう一度茶室の外へ、
忍び寄る事に決心しました。
それから一時《いっとき》ばかりたった頃《ころ》です....
「竜」より 著者:芥川竜之介
だぶるぶる胴震《どうぶる》いをしながら、川魚の荷をそこへ置くなり、ぬき足にそっと
忍び寄ると、采女柳につかまって、透《す》かすように、池を窺いました。するとそのほ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、もうつまらねえことをしゃべるなよ」 いいつつ、くぼみから身を起こすと、名人の
忍び寄るように近づいていったところは、日の暮れまえに見ておいたあの生けがきのくず....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
思案に暮れながらふと教会の裏口に眼を見やると、二重廻しに身を包んだ怪しい人影が
忍び寄るのが見えた。あっと云う間にすっと中へ消えて終った。根岸刑事は緊張した。彼....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
これは、横町の黒猫《くろ》が、魚辰《うおたつ》の盤台をねらって、抜き足差し足、
忍び寄るところでござアい!」 ピョンとひとつとんぼ返りを打ったチョビ安、大道に....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
けて、下手からはいって来る。 歩哨 ただいま、かような怪しの者が、御陣屋近く
忍び寄るところを、発見いたしました。こいつ! (と鹿の皮を引き剥ぎ、姫を前へ押し....
「時事雑感」より 著者:寺田寅彦
うわさはさっぱり聞かない。愚かなるわれら杞人の後裔から見れば、ひそかに垣根の外に
忍び寄る虎や獅子の大群を忘れて油虫やねずみを追い駆け回し、はたきやすりこ木を振り....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
そして自分の明白な義務は、都合よく低く這っている樹々の下に隠れて出来るだけ近くへ
忍び寄ることだ、と思い始めたのだ。 話し手のいる方角は、彼等の声の響だけではな....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
うな様子を示したので、わたしは当然彼が何かを見たと思った。私はそっとそのうしろに
忍び寄ると、彼は船と一直線上をすみやかに飛んでいる霧の圏のようなものを熱心に見つ....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
祟りがあるからやめなさいと言う。なぜかと訊くとそういう家を悪魔が見込んでこつそり
忍び寄るからだと答えるのである。 しかし、どこへ行つても、警官の制服をそう軽々....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
ので、わびしい雨戸の隙間が薄明るくなったかと思うと、ぬき足をして縁側の障子の外へ
忍び寄る者があった。お此ははっとして耳を傾けると、外からそっと呼びかけた。 「お....
「おせん」より 著者:邦枝完二
もあろうと想われる蓮の葉に、置かれた露の玉は、いずれも朝風に揺れて、その足もとに
忍び寄るさざ波を、ながし目に見ながら咲いた花の紅が招く尾花のそれとは変った清い姿....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
に入学を許された。その試験は、八月の末か九月の初旬で、飛白の単衣に、朝夕の秋風が
忍び寄る頃であった。 田端の高台にある下宿屋に移り、駒込の学校へ通う路すがらの....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
へ続いていた。彼は闇夜を透して見ると二人の男が梯子を登ってドーブレクの部屋の前に
忍び寄るらしい。耳を澄すと、微かに戸をこじ開ける音が聞える。風の間に間に人の耳語....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
は父の亡骸を抱いて泣いた。 この時、背後の方から不意に物の気息が聞えて、何者か
忍び寄るようにも思われたので、市郎は手早く蝋燭を把って起上ると、余りに慌てたので....